[1219]太田胃散とショパン

2013年5月17日

~おおたいさん、いいくすりです~

かなり昔のなぞなぞに、

「読売巨人軍のホームラン王を寄せ付けない薬は?」
「太田胃散(王退散)」

というのがありました。当時はON砲といわれていた3番長嶋茂雄、4番王貞治は本当に恐れられていました。当時、長嶋は必ず塁に出る、そして王がホームランを打つ。得点が期待されるこの場面は大いに盛り上がったものです。

そのほかにも「王、金田、広岡、吉田」(おお!金だ!拾うか!よした!)というのもありましたね。これなど、国鉄スワローズにいた金田が巨人に移籍したころの貴重なギャグではないでしょうか。

さて、その巨人軍で活躍した長嶋茂雄の長男「長島一茂」が出演しているコマーシャルが太田胃散。「太田胃散、いい薬です」のフレーズは超有名。このコマーシャルで流れているピアノ曲は、ショパンの前奏曲第7番。同じ曲を長い間使い続けることで製品イメージを植えつけた手法はエビスビールの「第三の男」と同じでしょうか。

しかし、こういった有名な曲を企業の商品イメージとして使っていいのか?
著作権上問題は無いのか?

企業の製品タイアップ曲は通常ならば巨額の使用料が発生します。しかしクラシックはほとんどが著作権は切れているので、自由に使ってかまわないのです。むしろクラシックの名曲を製品に使うことで安くイメージ付けを行うことができるので、使い方によっては効果的です。ショパンの前奏曲を聞いたなら、おそらく日本人のほとんどの人が太田胃散を思い浮かべることでしょう。企業戦略としては成功です。

※誤字に気をつけましょう。「太田胃酸」、「大田胃散」いずれも間違い。太田は「太い」、胃散は「散じる」の字です。

[2008.10.25追記]

今号について、記述に誤りがあると指摘がありました。「巨人の全盛期、3番は王、4番は長嶋なのでは?」というものです。確かに「4番サード長島(当時は長島の字)」という会場の響きも記憶にありますが、長島が3番を打ち、満塁にして、4番王がホームランを打ち、4点を獲得する、という戦略のすごさを友人と語ったことがあり(昭和30-40年代)ますので、この記述も間違いないと思います。

1963年のオーダー

1.柴田 勲
2.国松 彰
3.王 貞治
4.長島 茂雄

1964年のオーダー

1.柴田 勲
2.国松 彰
3.王 貞治
4.長島 茂雄

Googleで検索すると、
4番ファースト王=632000件
4番サード長島=214000件(4番サード長嶋=52,900)
とヒットしますので、両方存在したようですが、実際には4番はサード長嶋が圧倒的に多かったようです。