[1291]シェールガス

シェールガスとは地下100m~3000mにあるシェール層という地層に滞留している天然ガスのこと。これを掘り出す技術が確立され、近年その期待に高まりを見せています。日本でも2012年6月22日に大阪ガスが2億5000万ドルを投じアメリカテキサス州の開発・生産プロジェクトに参画すると発表しました。

大阪ガスは22日、米国でシェールガスの権益を約200億円で取得したと発表した。液化天然ガス(LNG)換算で約2千万トンとみられる総産出量のうち35%を販売できる。年末までに生産を始める計画。当面は米国内で販売するが、米政府の許可が得られれば日本への輸出も検討する。国際的に割高とされるLNG調達コスト低減につながる可能性がある。(2012年6月22日、日経新聞)

従来のガス田はガスが溜まっている砂岩層にパイプを打ち込み、ガスを取り出す方法です。この方法は至極簡単なのですが、ガス田自体すでに枯渇状態です。

そこで新たなガス源として注目されているのが深海から採取するメタンハイドレート。しかしこれは技術的には可能になったものの、採算が取れるところまで入っていません。ガスが豊富にあっても採取に金がかかっては売ることも使うこともできません。

その点、このシェールガスは、以前より深いところに貯留しているものの、技術的にはそれほど難しくありません。方法はシェール層に沿って横向きに井戸を掘り、そこに高圧な水を送り、水で地層を割って封じ込められていたガスを回収するというものです。

メタンハイドレートと違い、陸上から操作できるので、コストも抑えられます。原子力に頼れなくなった現在、有望なエネルギー源として注目されています。

しかし、問題点も指摘されています。シェールガスの採掘には大量の水を送り込みますが、その水圧が周辺の地下水に影響を及ぼし、水道の蛇口からメタンガスが出るなど環境破壊が確認されています。また、頁岩に割れ目を生じさせる破砕振動が地震を誘発するとも言われています。

ちなみにシェールとは頁岩(けつがん)ともいい、薄くページのように剥がれるように割れるので頁岩と呼ばれます。このシェール層、残念ながら地層が新しい日本には無いそうで、資源の乏しい日本は、引き続き、微生物による石油精製技術の確立に精を出すしかないようです。