[267]備長炭(びんちょうたん)

紀州備長炭といったら炭の中でもブランド中のブランド。紀州「和歌山」で生まれた日本が世界に誇れる最高級の炭です。

「備長炭」の呼称は、元禄時代(1700年ごろ)から使われるようになり、紀州藩の炭問屋、備長屋長左衛門がその名付け親とされています。

備長炭の原木はウバメガシですが、炭焼き人達は、のウバメガシが少なくなってくると、また別の山へ移り、転々と移動しながら炭を焼いていました。やがてその技術は瀬戸内海をわたって、土佐(高知県)日向(宮崎県)にも伝わり、それぞれ土佐備長炭、日向備長炭となっていきます。

備長炭は堅炭でたたくと甲高い金属音を出します。この堅さは原木の堅さもありますが、その製法に秘密があります。炭は、燃え尽きないような温度で蒸し焼きにし炭化させます。そして仕上げに空気を一気に送り込み高熱にし、そして灰をかけ一気に消火します。すると表面がすべすべできれいな備長炭が出来上がります。

備長炭で焼くうなぎや焼き鳥は特別においしい。その秘密は、備長炭の持つ強い火力と程よい遠赤外線、そしてうちわ一つで火力が自由自在であることに起因します。火持ちが良いもの特長です。パチパチはねないので料理には使いやすい炭です。

ちなみにウバメガシは「馬目樫」と書きます。ウバメガシは荒地でもよく育ち木質は堅く、製炭に適した木材です。原木には樹齢20年から40年くらいのものを使用します。

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