[257]右前左前
洋服の場合、ボタンをはめる時に男用と女用と合わせが違いますよね。男用が右前、女用が左前です。これは自分から見てではなく、正面から見てです。男の場合、自分から見ると左側が上に合わさります。
着物の場合は、男女とも右前です。つまりどちらとも自分から見ると左側が上にきます。ただし、死者に白装束を着せる時は、左前に着せます。
人間は元々裸で暮らしており、それが布をまとうようになり、着物や洋服を着るようになった。その段階で、合わせが生じますが、男の場合は、右利きが多く、また剣や武器を扱う時に右手を暖めておく必要があるので、右前になったという説がります。
一方、女の左前は、赤ちゃんに授乳させる時に左の心音を聞かせ、右のおっぱいを含ませるのに都合が良いから、という説があります。
世界的に見れば、右利きの多い人間ですから右前が主流です。左前は中世のヨーロッパ宮廷では女性は服を着せてもらったので、着せやすいように左前になったのかもしれません。
今時、洋服を着せてもらうことは少なくなりましたので、長い目で見れば、右前が主流になっていくのではないかと考えられます。そのほうが洋服を作る側の生産性も高まりますしね。
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