[225]潜水病と高山病

人間は地表(1気圧)で快適に暮らせるようにできています。それが海に潜ったり、高山に登ったりすると環境の変化に体がついてこられなくなって、いろいろな障害を起こします。海に潜った時に起こるのを潜水病といい。高い山に登ったときに起こるのを高山病といいます。これらの病気は簡単ではなく、重症の時は死亡することもあるので注意を要します。

スクーバダイビングを習いますと、何を教えられるのか?といいますと、潜り方もそうですが、じつは水の怖さです。水中は地上と違って呼吸が出来ません。また、高い水圧体が押されます。これらの特殊な状況を自覚しないととんでもない事故につながります。

潜水病というのは、ダイビングした時に起こる病気の総称で、主に減圧症、窒素酔いなどをいいます。肺に水圧がかかって容積が小さくなっている空気を吐き出さずに急浮上しますと肺が破裂したりします。これはもう潜水病じゃなくて危険行為であるといえます。水揚げされた深海魚がよく浮き袋を口から出していますよね。ああはなりたくないですよね。

長時間水圧の高い深いところに潜っていると、体内組織に大量の窒素が溶け込みます。この窒素は水圧で押されていますが、浮上すると組織内で気泡になります。気泡は血液の流れを止め、軽い時は痒み痛みで済みますが、重症の場合は血栓による呼吸困難、昏睡などを引き起こします。これを減圧症といいますが、治療は減圧チャンバーという治療室に入り、徐々に減圧することでなおします。

また、窒素は体内に吸収されると、麻酔効果が現れ、動作が緩慢になり、思わぬ事故を引き起こします。ぎりぎりの長時間の潜水は避け計画的なダイビングスケジュールが大切なことはいうまでもありません。

高山病は高度3000メートルを超える山に登った時に起こるようです。体のコンディションによって起こったり起こらなかったりします。高山病は、気圧の変化というより、酸素不足に起因することが多く、酸素を吸入することで回復します。しかし、それでもダメな時もあるようで、そんなときでも低地に戻ればケロリと直ってしまいます。

日本ではほとんど起こりませんが、北アルプスの山にロープウェイで一気に上ったり、気圧の調整がされないヘリや軽飛行機で一気に上昇した時、また富士山でも8合目を越えたあたりで高山病になる人が多いようです。

旅先で起こることも多く、これなどは疲れによるものが大きな原因であったりします。高山病になりますと、体もだるく何もやる気がおきなくなるそうですが、精神面でも倦怠感が大きいといいます。ヒマラヤのような7000メートルを超える山では一歩一歩が倦怠感との戦いだと聞きます。

避暑を兼ねた山登りと気軽に考えず、山に登って気分が悪くなったら、直ちにスケジュールを変更して、下山する勇気も必要でしょう。行楽シーズン、事故の無いように。

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