[819]会席料理と懐石料理(加筆修正版)
読みはどちらも「かいせきりょうり」。しかし、その発祥はかなり異なるようです。
【懐石料理】
懐石とは懐の石と書きます。その昔、禅僧が空腹をしのぐために温めた石を懐(ふところ)に入れたことに由来しているとされます。またこういう話もあります。旅の禅僧が訪れた時にもてなすものが何も無い。迎えた禅僧は自分の懐で石を温め、それを旅の禅僧に与えた。旅の禅僧はとても喜んだという。つまり懐石とはは心のもてなしだ、という喩えです。
今、懐石料理といえば茶の湯の席で、お茶を美味しく飲むための簡素な食事をいいます。抹茶を美味しく飲むための茶事の一部としての料理ですからあくまでも脇役です。流派や茶事の種類によって少々異なりますが、飯、汁、向付、煮物、焼き物などが主流となっています。量は少なく材料は格別に吟味されたものが多いが特徴。
【会席料理】
もともと「会席」とは俳諧や連歌を楽しむための会のことで、その会が終わった時にとり行なわれる宴会で出される料理を会席料理といったのが始まり。最初はお酒も少し、料理も少しだったそうですが、だんだんエスカレートして豪華な宴会となったようで、最近では宴会料理のことを会席料理という。料理としてはお酒を飲むための酒菜を中心とするもので、懐石料理と違って流派やこうしなければならないというようなルールは特にない、とされます。