[758]光化学スモッグ

南極のオゾン層にオゾンホールという穴が開き問題になっています。オゾン層は地球に降り注ぐ紫外線をカットし、人間やその他の生物の存続を守っていますが、オゾンホールが大きくなりますとその穴を紫外線が通ってきてしまう深刻な問題となります。オゾンを破壊するフロンガスの全廃に向けて各国動いてはいますが実質あまり効果が無いことがわかったようです。

地球の極地を取り巻くオゾン層を構成するオゾンはいわゆるオキシダントといわれる仲間です。オゾンというと有益な物質のようですがじつは人体にとっては毒となります。ちなみに酸素。これもとりすぎると毒となります。

光化学スモッグとは、大気中の窒素酸化物や炭化水素などの物質が太陽の紫外線を浴びて化学変化し、人体に影響のある光化学オキシダントという物質になります。これが光化学スモッグの正体です。

窒素化合物や炭化水素は工場の煙突や自動車の排気ガスの中に含まれますので光化学オキシダントは渋滞の激しい場所や工場地帯でよく発生します。光化学スモッグは目がチカチカする、のどが痛い・いがらっぽいなどの症状を起こします。ひどいときは、胸が苦しくなったりすることもあります。

光化学スモッグが発生しますと「光化学スモッグ注意報」が発令されます。大量に発生しますと「警報」がでます。決して侮れない物質なので、注意報が出たら過敏な人はあまり外に出ないほうが無難ですね。

スモッグというのはスモーク(煙)とフォグ(霧)が合体した造語です。今から30年前、1970年の東京は杉並区、環七のそばにあった立正高校の女子生徒41人がグラウンドで運動中に原因不明の症状に襲われるという事故が相次ぎました。その解明にあたっていた東京都が原因を「光化学スモッグ」と特定したことによって有名になったとされていますが、光化学スモッグという言葉自体はもう少し前からあったように記憶しています。

今でも光化学スモッグは発生はしますが、それで病院に運ばれるなんてことはめったにありません。これは環境に対して自動車メーカーや工場経営者が努力したことによるものと思われます。

1970年頃は排気ガス規制もなく、東京環七あたりはそれはもうすごい状態でした。街路樹が真っ黒なんですから。また近くには神田川が流れていましたが、これがまたひどく汚い。メタンガスがプクプク発生している。大田区の平和島にはヘルスセンターがあってよくそのプールにつれてってもらいましたが、フェンス越しには東京湾が見えるところがその海の色は真っ黒なんですね。

ヘドロという言葉がありますがこのヘドロも多分この頃生まれたものだと思います。環境的にはまさに暗黒時代といえましょう。その頃に比べれば今は東京湾も格段にきれいになりましたね。