[721]スローフード
スローフードとはファーストフードに対抗する言葉のように捉えられていますが、たしかにそういう意味合いもありますが、もともとは消えていく可能性のある伝統的な食材や郷土料理などの食文化を守っていこうとする運動のことを言います。
発祥のきっかけは1986年イタリアのローマで起こったマクドナルド1号店にたいする出店反対運動だとされます。その後、1989年にイタリアのブラという町でのスローフード協会という非営利組織(NPO)が発足しています1999年には日本でも日本スローフード協会が発足したほか、複数の団体がスローフード運動を行なっています。
日本でもここ数年で食生活が大きく変化し、外食や調理済食品の市場が拡大しており、一方で自宅で料理や食事をする機会が減っています。最近は食品の安全や信頼を脅かす問題が数々起こっており、食そのものを見直す動きが広がる中で、スローフード運動も注目されています。
日本の食文化の中でもスローフードはたくさんあります。漬物や魚を発酵させて作ったしょっつるに代表される天然調味料。手間隙かけて作られる鰹節や味噌醤油の類も立派なスローフードです。晩酌には欠かせない日本酒もスローフードといえるでしょう。
スローフードには時間と手間によって愛情が凝縮されているように思えます。しかも健康に大変よろしい。自然食品だから当たり前なのですが、当たり前の食品がなかなか手に入らなくなったことは憂うべき事であることに違いありません。
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