[710]サメとフカのハナシ

昔、サザエさんの漫画(うちあけばなしだったかも?)に慣れない中国料理屋に入って「ひかのふれください」という笑い話がありました。また鉄腕アトムでは悪者のサメがかまぼこにされてしまう場面もありました。イナバの白兎の話でも登場するのはワニ(サメの方言)。昔から悪者扱いされてきたサメだけど憎めない一面もあります。

映画ジョーズの影響でサメというと凶暴で怖いものという印象が強いですが、日本近海に生息する100種類のサメうち本当に凶暴なのは、ホオジロザメとシュモクザメくらいなもの。それにしたって人間を好んで食うわけではなく、餌と間違って襲ってしまったりする。サメは頭が悪いし、見境がつかないのです。

サメとフカは同じもので学術的にはサメと呼ぶのが正しいとのこと。東日本では普通はサメと呼び、特に大きなものをフカと呼ぶ。これが西日本ではまったく逆で普通はフカといい大きなものをサメというらしい。サメヒレと言わずにフカヒレと呼ぶのも、日本で最初に製造したのが九州は長崎だったことに由来します。

フカヒレはその名のとおりサメのヒレ。日本では宮城県の気仙沼が産地として有名。もちろん漁獲高も日本一です。出荷は日本国内だけでなく、本場中国にも輸出するほど勢いがいい。もちろん品質は世界一です。

フカヒレは天日に干して乾燥させたものを水で戻して使いますが、皮や骨を抜くその手間は大変なものとなります。しかも、無味であるにもかかわらず臭みがあるのでそれを取らなければ料理になりません。しかしそのゼラチン質の身の部分は薬効があるため重宝されています。そうフカヒレ料理はじつは薬膳料理だったのですね。