[654z]日本人拉致事件

北朝鮮による日本人拉致事件について日本政府調査団の報告がなされました。それによれば一連の拉致は北朝鮮の特殊機関の一部部署による犯行だとし、閉ざされた国としては異例に早い回答を出したといえます。

しかし拉致事件に関する北朝鮮側の説明にはなお不自然な点も残っていることから、政府としては追加調査を求めていく方針とのこと。内容については不満が多いものとなっており日本国内の世論やご家族の心境は穏やかではないでしょう。しかしここで敢えて私は言いたい。

『急いてはことを仕損じる』

この拉致問題を解決しない限りは国交正常化はありえないと、大手新聞社の社説にもあるとおり、世論の憤りはかなり大きなものとなっています。しかし私が思うに、拉致問題は国際犯罪であることや、相手が長い間閉鎖的であった独裁国北朝鮮であることを考えると、あまり結果を急がない方がいいと思うのです。

楽観的に考えた場合、まず思うことは、金日成から金正日に政権が移行したときのあの金正日の冷たい表情がここに来て非常に柔らかくなったということです。逆に悲観的に考えれば北朝鮮は金正日の独裁国であり、言い換えれば金正日の利益のための国家だということです。民主化がなければ正常な国交はありえませんが、おそらく民主化はまず考えていないでしょう。

もし北朝鮮が民主化を考えていたら、今までの独裁政府は崩壊の後、裁判にかけられ、首謀者は処刑されることになります。自分が処刑される?そんなことをみすみす金正日国家がやるわけがない。ありえるとすれば米軍介入による国家開放。つまり軍事的クーデターです。

小泉首相の訪朝はまずは成功といえます。しかし小泉首相が進めている国交正常化といっても結局は「あれはダメこれはダメ」という具合に私たち日本人が考える人的交流はまず望めないと見るべきだと思います。今回の事件だって北朝鮮の国民には何も知らされていないのですから。

訪朝は国交正常化の序盤であり、これからが本番です。工作船がどうの、拉致された人の死因が不審だのといたずらに刺激せず、まずは国交正常化することが先です。まずは門を開き、それからいろいろ解明すべきです。政治とは100年単位で考えなければなりません。そしてその長い目で見ればまだまだほんの一歩を踏み出したばかりなのです。