[1010]ガルバリウム鋼板
テレビのリフォーム番組で必ず出てくるアイテムにガルバリウム鋼板があります。建物のサイディング(外壁)に使ったり、屋根に使ったりします。ガルバリウム鋼板が人気なのは、安価なことに加えて作業性が良い、そして何よりその銀色の光沢がなかなか良い景観をもたらすことにあると思います。
さて、このガルバリウム鋼板ですが、いったい何者?
ガルバリウム鋼板は、1972年にアメリカのベツレヘムスチール社によって開発された溶融55%アルミニウム?亜鉛合金めっき鋼板です。(55%Al?Zn Corrugated Iron Sheets)。トタン板に代わる高性能な鋼板として全世界で年間約120万トンの需要があります。日本では日鉄鋼板が海外企業との技術提携により1982年に初めて商品化しました。
今までのトタン板は「溶融亜鉛メッキ鋼板」という種類の亜鉛メッキの鋼板です。商品名としてはカラー鋼板等として販売されています。ガルバリウム鋼板は亜鉛だけでなくアルミニウムも同時にメッキします。この溶融55%アルミニウム?亜鉛合金のメッキ鋼板を「ガルバリウム鋼板」と呼びます。
亜鉛メッキのトタン板に比べガルバリウム鋼板は3?6倍の耐久性を誇ります。暴露テストでは海岸地方で25年の耐久性を記録したこともあるようです。今までのカラートタンが5年ごとに塗装を必要としていたことを考えれば、3倍としても15年。ほとんどメンテナンスフリーといえる素材であるいえます。
その耐久性の秘密はメッキに含まれるアルミニウムにあります。亜鉛が鉄の錆を防止するのは、鉄よりも先に酸化(錆びて溶融する)する犠牲防食作用によるものです(ブリキとトタンの項参照)。
ガルバリウムのメッキ層はアルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%からできていますが、溶け出した亜鉛の部分に微細で凝集性のあるアルミニウムの酸化生成物がすぐに充填されるのです。この作用を「ガルバリウム鋼板の自己修復作用」と呼んでいます。この被膜保護作用によりガルバリウム鋼板は優れた耐食性、加工性、耐熱性、熱反射性などを発揮するのです。亜鉛の特性とアルミの特性のコラボレーションとでもいいましょうか。
なお、ガルバリウム鋼板を加工するときは、切削屑をきちんと除去しておくことが肝要です。切削屑は鉄部がむき出しになっていますので、そのまま放置しておくと錆びます。その錆により「もらい錆」を生じます。また、アルカリには弱いので、モルタル(コンクリート)と接触すると黒く変化することがあります。ただし心配は無用。耐久性には変化はありません。