[1152]マングローブ
南国のイメージと地球環境のイメージがマッチするせいか、地球温暖化防止のコマーシャルで熱帯孤島の湾に茂るマングローブの林をよく見かけますね。CMの狙いは、マングローブは二酸化炭素を吸収し地球温暖化防止に役立つというものです。また、マングローブは海水にもめげず海に生えている植物として異彩を放っています。
その樹木の姿にも特徴があります。普通の樹木の形ではなく、根にあたる部分が持ち上がり枝分かれしており、ちょうど人間が立っているようにも見えます。マングローブのグローブ(Grove)は木立という意味があり、マン(人間の)グローブ(林)つまり「人間の林」ということでしょうか。
マングローブと一口にいいますが、「マングローブ」という名前がついた植物があるわけではありません。マングローブを構成する植物はヤシやシダの仲間のほか、よく見るのはヒルギといわれる植物です。日本でも沖縄県でメヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシなどを見ることができますが、これら熱帯・亜熱帯地域の河口などに生息する植物をひっくるめてマングローブといいます。
マングローブが密生する場所は海ではありますが条件は限られています。生息地は満潮に海水に満たされ、干潮時には地面が見える「潮間帯」という場所です。静かな海面を好み、波が当たる場所には生息しません。
マングローブはなぜ海水でも育つのでしょう。普通の陸生植物は海水では育ちません。それは塩分が生理作用を阻害するからです。マングローブは海水を吸収しますが、真水の部分のみ吸収し、塩を吐き出してしまう脱塩能力を持っているのです。
マングローブは干潟を構成するため色々な生物の幼生の宝庫となっています。マングローブが育っているところには魚が寄りつき漁業が活性化します。マングローブは海岸線の防砂林にもなります。
一方で育ちが早いので木材として建築材料にも使えます。また炭の原料として最適なため、伐採されてしまい、そのため環境破壊が起こっています。環境に特に貢献するマングローブなので、各国でマングローブの植林が奨励されているというわけです。
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