[22]差別社会に生きる

2019年3月21日

第22回
■差別社会に生きる
長い日本の歴史の中で、朝廷を中心とした「貴族」と各地に跋扈(ばっこ)した武家によって政治が行われて来ました。力のない庶民にいつの間にか「差別」が作られたのです。
皆さんのお家にも必ず先祖代々の位牌を祀った仏壇もあって、そして菩提寺にお墓もあると思いますが、前にも述べました「差別」の「穢多(えた)・部落民・非人(ひにん)」には、明治四年には廃止された筈なのに死んだ後まで人間扱いされなかったようです。
どうしてこう云う制度が出来たのか定かではありませんが、江戸幕府が作ったようです。その一家の中で一人でも該当する人が出れば、一蓮托生(いちれんたくしょう)で全員がなってしまつたようです。そして城下町の一角に閉じこめられ、職業も限定され、一旦そこに入ってしまったら世襲で、生まれた子もまた引き付いてしまつたようで、一生抜けることは出来ません。
こんな状態ですから、死んだ後も当然差別はあったようです。お寺の宗派にも依りますが、殆どのお寺には埋葬することが出来ず、京都にある一寺だけが唯一の埋葬の出来るお寺であつたようです。
墓石に刻んだ戒名も酷い名前です。まるで犬畜生のような名前です。使う文字も巧妙に書いてあるようです。例えば『玄田生男』・・何て読みますか? 「げんたいくお」じゃありませんよ。『玄田』はくっつけると「畜」になるし『生男』は全部繋げると「畜生男」となるのです。
当時の人達は何故これほどの憎しみを込めた行動を取ったのでしょうか? それは階級制度の厳しかった時代の人は少しでも自分は偉いんだ・・と云う意識が強かつたのではないでしょうか。此の墓の問題は今は心ある人達によつて、発見され次第撤去破壊されて居るようですが、人が人を差別することは良いことではありませんね。
ですけど程度の差はあるにしても昭和の初め頃は厳然と存在していました。その頃は家族制度で「封建社会」でしたからね。又地方に行くと地元のお婆さんなんかが、指さして、「あそこはこれだよ」と手で四本指を見せるんです。四本指は「部落」を表すらしいですね。

放送禁止歌
放送禁止歌

posted with amazlet on 06.10.07
森 達也
知恵の森
売り上げランキング: 3,262

amazonで「差別」を探す