[76]戸籍にまつわる話
第76回
■戸籍にまつわる話
年を取ると先が短くなるせいか、昔の事が知りたくなりますね。自分はどうして此の世に生まれて来たのだろうか・・と云うルーツを知りたくなりますね。
国民は知る権利がある・・と規定されているのに、この頃の法律は逆に知る権利を抹殺していますね。人は生まれたときは「出生届」を必ず出すと云う事を義務付けされていますよね。なのに何故自分の直系の肉親の「除籍謄本」が、本人の承諾なしに謄本記載の人達が全部Xがついてから50年経てば勝手に廃棄処分になってしまうのでしょうか?
私達の年代になると、お爺ちゃん、お婆ちゃんの生まれた年代は「安政・万延・文久・元治・慶応・明治」なんて云うのはざらです。ですから此の当時の「謄本」に記載の人達は先ず生存していません。従って最後の人が亡くなってから50年経つと捨てられてしまうのです。
戸籍法が出来たのが明治四年と云いますから、その当時生存していた人は戸籍に乗って居る筈です。「壬申戸籍」明治五年の日本で一番古い戸籍です。(じんしんこせき)と云います。
この頃はやたらにプライバシーの問題を法制化していますが、それを悪用する悪い奴が増えて居ることは分かりますが、かと云って本人が自分の事も分からなくして良いだろうか? と思いますね。
昭和50年12月31日を以て他人の戸籍を取ることが出来なくなりました。3親等以外は取れなくなったんです。自分の夫や妻の戸籍も取れませんよ。法律上夫婦は他人だそうです。そればかりではありません。自分の兄弟姉妹のものも取れません。ですから世帯が別になって居ると生死さえ分からないのです。
私は此の法律の施行される寸前に、自分に関わりのある親族、姻族、それに関係する一族の「除籍謄本」「改正原戸籍」「戸籍謄本」などすべて取り寄せました。 しかし昭和51年にまたがってしまった分も多少あった為に役所から葉書一枚に「請求された除籍謄本は廃棄されました」と来ました。もう永久に見ることは出来ないのです。
日本で一番古い「壬申戸籍」明治5年の戸籍は1枚手に入れる事が出来ました。前にもお話した差別の表示があるものです。うちの戸籍には「平民」と書かれて居ます。昔は大戸籍ですから一族で同じ本籍であれば全員記載されています。しかし愕きましたね。自分と血を分けた人達が明治五年に遡れば約2千人もいるんですよね。
これだけの人達が居て自分の生命が生まれたと考えるとき、命と云うものは大変なものだと感じますね。此の「壬申」戸籍を見ると、明治五年にはまだ生存していた人達の名前も書かれて居ます。一番古い人は私から数えて六代前の人で、生年が「文化十四年」(1817年)・・今から189年前の人まで載っているのです。ですが此の「壬申戸籍」は翌年に請求したらもう廃棄処分になっていました。法律とは云え本当に残念で腹が立ちますね。
役所に行って「壬申戸籍」の前の「人別帳」を見せろ・・とねじ込んだら、倉庫に封印されているので、職員でも見ることは出来ない。もし見るには「法務大臣」の許可証が必要・・だと云われました。「人別帳」はあるらしいですね。
戸籍の知識104問
楽天で「戸籍」を探す