[102]知らなかった事件簿(3)北海道夕張行李詰め事件…迷宮

2019年4月27日

第102回
■知らなかった事件簿(3)北海道夕張行李詰め事件…迷宮
最近では「市の財政難」で有名になってしまった夕張市。その夕張市はかつて炭鉱の町であり黒いダイヤ(石炭のこと)を求めて大変賑わった町でもあります。此の事件は、そんな夕張市を舞台とした事件です。
昭和2年2月28日に東京市の両国駅から発送された北海道夕張町旭通りの中村権治宛(発送人と同じ)の柳行李(やなぎごおり)が、受取人がいないために夕張町の丸通運送店で保管してありました。受取人が現れないまま3年経った昭和5年4月2日に店員が開けてみたところ、中から半分腐乱し半分ミイラ化した50才位の男の死体が出て来たと云うものです。
死体は服を着ておらず、防水布で覆ってあったと云い、柳行李は麻縄で結ばれ、更に菰(こも)包みにして又麻縄(あさなわ)で厳重に縛って、内容はゴム底足袋と書かれていたと云います。
行李が夕張に届いた当時はゴムの長靴の需要が多かったと云う事情もあり、当時の夕張の事情に詳しい者の犯行と思われましたが、時間が経ちすぎており犯人は不明でした。
なお殺害された男は梅毒の朝鮮人ではないかとされましたが、身元は判然としなかったと云い、警察は北海道出身者の行方不明者をローラー作戦で捜しましたが見つからなかったようです。被害者、犯人とも見つからず、迷宮入りとなった事件です。