[37]バンテアイ・スレイの遺跡訪問

シェムリアップから北東に約40km、車利用で約1時間の所にバンテアイ・スレイはあります。赤い砂岩が特徴のこの遺跡は朝日が当たる午前中が見ごろ。太陽の陽を受けて燃え上がるように見えます。あいにくの雨でも大丈夫。雨に濡れると朱色がいっそう引き立つからです。

このバンテアイ・スレイは「女の砦」という意味の寺院。創建年代は967年、シヴァ神とヴィシュヌ神に捧げられた周囲約400mほどの小さな寺院です。周囲は赤色砂岩とラテライトで作られ、一部レンガも使用されています。赤色が美しい遺跡です。
 

バンテアイスレイの東正面。赤い絨毯が敷き詰められているような錯覚に陥る。(2006年4月9日撮影)

当時のアンコール王朝の王師ヤジャニュバラーハの菩提寺として建設されたといわれているバンテアイスレイ。屋根の一部はレンガも使用された美しい遺跡です。レンガといっても日本のレンガとはだいぶ大きさが違います。もちろん大きいのです。

ここには、カンボジアのパンフレットにも多く記載されている優雅なレリーフ「東洋のモナリザ」があります。建物の側面には同じようなレリーフがたくさんあり、また周囲にロープが張られ近くにいけないため、おなじみのデパダー像を探すのに苦労しました。

かつて作家のアンドレ・マルローは、このデパダー像に魅せられ、盗掘して国外に持ち出そうとして逮捕されたことは有名は逸話です。それは1923年12月23日のこと。バンテアイスレイ寺院でレリーフを盗んだとして友人のルイ・シュヴァッソンとともにプノンペンで逮捕。1924年7月プノンペンの裁判所でマルローは禁固3年、友人のルイは禁固1年半の判決を受けた。一緒に妻も逮捕されましたが、無罪放免。帰国した妻は母国でアンドレの救援のため支援を求めました。その甲斐あってアンドレは減刑されフランスに帰ることができましたとさ。

[36]アンコールワットのオプショナルツアー

二日目の観光は、一日目に頼んでおいたオプショナルツアーに参加。選んだのはバンテアイスレイとタ・プロム観光。そのほかにもトンレサップ湖めぐりなど数種類ありましたが、今回の旅行は遺跡めぐりが目的だったためこのツアーに決定。

主なオプショナルツアーは以下のとおりです。

  • トンレサップ湖クルーズツアー(一人$30)
    午前もしくは午後の半日観光(所要時間2?3時間)
    東南アジア最大の湖、古代から続く伝統的な水上生活の湖にご案内。船に揺られて小一時間、水上の病院、学校、教会もあります。
     
  • バンテアイ・スレイ遺跡ツアー(一人$30)
    午前もしくは午後の半日観光(所要時間2?3時間)
    市内から車で40分、「東洋のモナリザ」として名高いバンテアイ・スレイ遺跡へご案内。フランスのアンドレマルローは女神像の彫刻のあまりの美しさに盗掘を試みたとされます(東洋のモナリザは遺跡保護のため約20mHEARTはなれたところからの見学。遺跡入場券は別途)
     
  • カンボジアシクロで巡る面白ツアー

     ・よくばりシェムリアップ市内観光(一人$20、2時間)
     庶民の生き生きとしたカンボジアが盛りだくさん。カンボジア伝統工芸見学⇒新しいマーケット「プサーカンダール」⇒恋愛成就ワットオンチューム寺でお祈り(ココナツジュース付)⇒アキ・ラの地雷博物館もしくは高床式カンボジア民家(お線香付)

     ・在住日本人おススメの雑貨店巡り+人気カフェで休憩(一人$20、2時間)

    地元マーケットには並ばない在住日本人おススメの人気雑貨店でかわいいカンボジア雑貨をお土産に!アーティ・ザンダンコール⇒ラジャーナ⇒ハガーデザイン⇒コクーン⇒サオマオにご案内(朝10時より営業)。その他希望の雑貨店があればご案内します。ショッピングの後には人気のコーヒーショップで一休み(ワンドリンク付)。

     ・話題沸騰!噂の喜び組?を訪ねて北朝鮮レストランへ(一人$15、夜8時から1時間)
    北朝鮮レストランで毎晩披露される噂の喜び組?による歌謡ショーを堪能。ワンドリンク付き。夕食付き(冷麺セット)のコースは$25(19:00発、21:00終了)

もっとアドベンチャーコース

  • グバールスピアン遺跡観光(一人$55)
    朝8時頃出発午後帰着(所要時間5?6時間、お弁当付き)
    神々の聖地くバールスピアン。大自然の中山道を登っていくと、そこには聖なる滝や清流の中にヒンドゥー教の神々が静かにたたずんでいる。(遺跡入場券別途)
     
  • ベンメリア遺跡観光(一人$70)
    朝8時頃出発、正午帰着(所要時間4?5時間)
    幻の遺跡ベンメリア。密林に飲み込まれた遺跡を探索。宮崎駿原作「天空のラピュタ」の天空城を体験!?
     
  • 聖山プノンクーレン観光(一人$100)
    朝8時頃出発、午後帰着(所要時間5?6時間、お弁当付き)
    川底に1000本以上の「リンガ」の彫刻!カンボジア人のの聖池プノンクーレンをご案内。
     

バンテアイスレイへ向かう途中、バスの車窓から見るスラ・スラン(Sras Srang)。王が沐浴するための広大な池スラ・スランは東西約700m、南北約300m。池の中央には王が瞑想を行うための塔が建っていた痕跡がある。創建者はジャヤヴァルマン七世。12世紀末頃の創建。
(2006年4月9日撮影)

[35]アプサラの舞い

第一日目の観光は、早朝にアンコールワットでサンライズ、いったんホテルに帰って、午前中はアンコールトム観光、午後はアンコールワット、そしてプノンバケンでサンセット、というのが定番です。そして観光が終わると夕食が待っています。これも観光客向けのレストランがあり、そこでアプサラの踊りを見て一日が終わるというパターンです。
 


夕食のレストラン(KOULEN Restaurant)は舞台つきの屋外レストラン。客席には屋根がない。お決まりのアプサラダンスを堪能する。
(2006年4月8日撮影)

アプサラとは天女のこと。その天女が舞う踊りをアプサラダンス(アプサラの舞い)といいます。

アプサラの舞いは神への祈りとして捧げられたもので、その源流はインド文化にあるといわれますが、今の形となったのは9世紀ごろのカンボジアとされます。当時は宮廷舞踊として珍重され、アンコール遺跡のレリーフにもこの踊りを多く見ることができます。

アプサラの舞と同じような踊りはタイでも見ることができますが、これはカンボジアから輸入されたとか。カンボジア王国は15世紀にタイによって制圧されましたが、そのときに宮廷舞踊団もタイに連れて行かれ、アユタヤ朝の踊りとして定着しました。後にこの踊りがカンボジアに輸入され今日に至っています。つまりこの踊りはカンボジアが発祥。その後タイに渡ったというのが正解です。カンボジアの人々はタイに対する感情は微妙で、自分の方が「タイよりも先」「タイよりも上」という考えがあるようでこんな踊りのいわれにも、タイとカンボジアの確執の一面を見ることができます。

アプサラの舞いはシェムリアップのレストランで気軽に見られる踊りですが、数年前ポルポト時代にはあらゆるものが否定され、このアプサラの踊りも例外ではなく、先生や踊り子の多数が処刑されたという事実があります。ひどい時代を潜り抜けてきた伝統の踊り。しかし今、舞姫たちの表情にはそういう重さを微塵にも感じさせない優雅さと誇りが満ち溢れていました。


アプサラダンスを見ながらの食事はバイキング。焼き物などは人気で行列ができる。しかし見渡すとすいているところもあるので効率よくゲットしたい。写真はおそらく一番無難な「チャーハン」。ほっとするほどうまい
(2006年4月8日撮影)