[27]つくろう女

女は、綺麗であらねばならない。
美しくあること――それが彼女たちのシンボルだ。
あなたは、どこまでも美しさを目指すだろう。最近では、カッコよく、大地の母でもあらねばならなくなった。
今や、あなたがたは一杯だ。両手に持ちきれないほど一杯になった。そして、持てば持つほど重くなった。
あなたがたは言う。
ことあるごとに言う。
「ワタシキレイ?」
「マワリカラ カワイクミエテル?」――と。
でもね、持てば持つほど世知がらくなってしまったよ。
あなたなど、もはやいなくなってしまったかのようだ。
持つ人々は、持ち物を守るために、さらに目ざとく獲得するために、狭く、尖ってしまう。
持つ人々は、許す心を失わざるをえない。
今やあなたは、略奪者から持つ物を守る、戦士となった。
休むことさえ許されない戦士――。
戦々恐々としたね。
あなたはもはや許さない。
あなたのなかにある、理不尽は許さない。
あなたのなかにある、不公平は許さない。
あなたのなかにある、迷惑は許さない。
理不尽や不公平は、どこまでいってもあるものだよ。
人がいる限り、生命がある限り、迷惑はあるものだよ。
どれが平等で、どれが不平等かは、人の数だけ違うんだから。
それらはお互いさま、どこまでいってもあるものだよ。
そもそも自然とは理不尽なものだよ。
あなたの思惑とは異なるんだから。
綺麗な人もそうでない人もいる。
努力をしなくとも上昇する人は上昇するし、下降する人は下降する。
何もかも含めたものが、ありがままの森羅万象。
そういうものだよ。
自然が理不尽で、不公平だとしたら、
きっとあなたの心は悲しむだろう。
反発だってするだろう。
でも、それを感じているのは誰?
あなたには、きっとそれは関係ないものだよ。
もし、あなたが在る物を在る物として受け入れさえすれば、それはそれで終わり。
持つことに固執するのでなく、持つことも奪われることも受け入れる。そうであれば、あなたはもうそんなことに煩わされることはなくなる。根っこは、持つことに固執したり、不公平に反応したりするあなたの心にあっただけなんだから。
あなたが携えるものに、世界に在る物に、悪い物はひとつもない。
それはそれとして、放っておけば何の問題もない。
すべては含まれていく。
在る物は、ただそこに在るだけ。
すべては、「everything is OK」だよ。
椎名蘭太郎