女は、綺麗であらねばならない。
美しくあること――それが彼女たちのシンボルだ。
あなたは、どこまでも美しさを目指すだろう。最近では、カッコよく、大地の母でもあらねばならなくなった。
今や、あなたがたは一杯だ。両手に持ちきれないほど一杯になった。そして、持てば持つほど重くなった。
あなたがたは言う。
ことあるごとに言う。
「ワタシキレイ?」
「マワリカラ カワイクミエテル?」――と。
でもね、持てば持つほど世知がらくなってしまったよ。
あなたなど、もはやいなくなってしまったかのようだ。
持つ人々は、持ち物を守るために、さらに目ざとく獲得するために、狭く、尖ってしまう。
持つ人々は、許す心を失わざるをえない。
今やあなたは、略奪者から持つ物を守る、戦士となった。
休むことさえ許されない戦士――。
戦々恐々としたね。
あなたはもはや許さない。
あなたのなかにある、理不尽は許さない。
あなたのなかにある、不公平は許さない。
あなたのなかにある、迷惑は許さない。
理不尽や不公平は、どこまでいってもあるものだよ。
人がいる限り、生命がある限り、迷惑はあるものだよ。
どれが平等で、どれが不平等かは、人の数だけ違うんだから。
それらはお互いさま、どこまでいってもあるものだよ。
そもそも自然とは理不尽なものだよ。
あなたの思惑とは異なるんだから。
綺麗な人もそうでない人もいる。
努力をしなくとも上昇する人は上昇するし、下降する人は下降する。
何もかも含めたものが、ありがままの森羅万象。
そういうものだよ。
自然が理不尽で、不公平だとしたら、
きっとあなたの心は悲しむだろう。
反発だってするだろう。
でも、それを感じているのは誰?
あなたには、きっとそれは関係ないものだよ。
もし、あなたが在る物を在る物として受け入れさえすれば、それはそれで終わり。
持つことに固執するのでなく、持つことも奪われることも受け入れる。そうであれば、あなたはもうそんなことに煩わされることはなくなる。根っこは、持つことに固執したり、不公平に反応したりするあなたの心にあっただけなんだから。
あなたが携えるものに、世界に在る物に、悪い物はひとつもない。
それはそれとして、放っておけば何の問題もない。
すべては含まれていく。
在る物は、ただそこに在るだけ。
すべては、「everything is OK」だよ。
椎名蘭太郎