言い忘れていたが、離婚後に私が登録したマジメ系出会いサイトは、結婚情報サービス「ノッツェ」が運営するもので、本業の“インターネット簡易版”といったところだろうか。記載の欄には、正会員かどうかもわかるようになっている。それで逼迫度合がわかると言うことかも。
そのサイトで、しょぼい男性からの申し込みを待つよりも、積極的にお気に入りの相手を探そうという方針で検索した結果、ルックスやプロフィールがまずまず素敵な男性を発見。私から申し込んで了解をもらい、晴れてメールから始めましょう!の交際を開始したのだが、その後の顛末は目を覆うものだった…。
1日1回のメールは200文字程度。携帯であれば結構なボリュームだろうが、PCからなら少なめと思われた。文字量はともかく、絵文字連発のメールの内容の半分は毎回、天候のことなのだ。
現代では中年も平気で絵文字を使うらしいが、たまに使うならまだしも、話の大半は天気のことで、それで絵文字だらけとは…とても希薄な内容としか言い様がない。それって、世間話だよね?お互い生態を探り合って、会いたいとか、異性のタイプがどうとか、恋愛を前提としている男女にありがちな話はほぼなく…そういうことに話しが進んでいくものだと思っていた私は愕然としつつ、彼を「お天気おじさん」と命名した。
私のネット求婚活動を知る親友に会うたびに、「お天気おじさん」との進歩の無さを、嘆くというよりも、笑い話にしてしまうほどに昇華してしまったのだ。半ば意地になった私は毎回お天気のことにはあえて触れることにした。それは彼の興味に歩み寄ろうとする親切でもあったし、どこまでお天気ネタでいくのかを見守りたいという好奇心も混在していた。
こんなにも貧困な話題では結婚できないわな、と思いながらも潜在では新たな展開を期待しつつ、結局2ヶ月ほど立った頃、彼は転勤が決まったと言う。縁がなかったと別れを告げ、あえなくおしまい。会うこともなく、ただ世間話をするだけで2ヶ月もときめかせてくれたのだから、肩すかしにしてもありがたい…とは思えませんでした。
本城愛子