ストーカー被害に遭い、ネットでの得体の知れない奴との出逢いに懲りた私にかかってきたオーネットスタッフからの勧誘電話。ちょうど仕事がはかどっておらず、やる気がないモードだったので、すぐにオーネットの門を叩く。といっても門などは無く、とあるオフィスビルのワンフロアだった。
オフィスは、囲い込むタイプのパーテーションで仕切られたブース(商談スペース)がいくつかあり、他のブースは意識してのぞき込むなりしなければ見えないように配慮されている。密談?!という言葉が脳裏をよぎり、何となく、後ろめたい気持ちを浮き彫りにする空間だ。割と大胆不敵な性格だと思っていた私でさえ、はやり微かな羞恥心のようなものを感じる。
私を担当したスタッフは私より年かさと思われる女性で、宝石や絵画を売りつけようとするお姉さんとは明らかに対応が違っていた。ありがちな奇妙な明るさもなく、別に押しつけるわけでもなく、過剰なお世辞を言うわけでもなく、かと言って全く事務的でもない。考えてみれば、ここへ来る人は「結婚したい、恋人がほしい」という切実な目的を持っているわけだから、過剰な演出は不要なのだろう。患者が病院へ行くようなものだ。不幸な人に壺を売るようなものかも知れない。そう、宗教にもちょっと似ている。
オーネットに入会したからといって幸せな結婚ができると思うほど私は単純でも純粋でもないつもりだが、何も(入会)しなければ、また今日までの暮らしが繰り返されるだけ。という、予備思考があったから、私の場合はカウンセリングに行く時点であらかた入会を決めていたように思う。で、次回からオーネットのシステム内容について説明したい。
本城愛子