[001]国際人しよう

「日本がわかる!」以来引き続きおつきあいして下さる読者の皆様、そして新しく読者になって下さった皆様、お待たせしました。今週からは「誰でもなれる国際人」というテーマで、日本と日本人は避けられぬ国際化時代をどう乗り切っていくのか、そして最近特にアジアの国々との交渉が増えてきた私自身の仕事の現場から感じたことを書いていこうと思っています。中国のめざましい発展を中心に地球の人口から見ても圧倒的に多いのは私たち日本人も含めてアジア人だからです。
まず、最近やたらに目にする「国際人」という言葉ですが、何だか日本語として変だと思われたことはないですか?「国際的に活躍している人」「国際的に通用する人」というのが正しい日本語のような気がするのですが。それに書き言葉としては頻繁に登場するものの話し言葉としては使われていない言葉でもあります。ふだん「あの人は国際人だもんね。」なんて言わないですから。
国際化、国際人などという話をすると「西洋かぶれはけしからん。日本には日本に合った良い風習や伝統があるではないか」とおっしゃる方も結構いらっしゃいます。でも、国際人と西洋かぶれや根無し草は違います。まず、きちんと日本人としてのアイデンティティを持つことが国際人の前提条件ではないでしょうか。いくら外国語がネイティブ並みで、その国の人と同じようにふるまえたところで、あなたは日本人としてしか見られていないのですから。その国の人に日本を語れなければ、ただの人間としての価値しかなくなります。言語的なことはもちろん、仕事のことでもいい、文化や風習でもいい、まずは日本を自分なりに説明できることです。


「英語苦手だから外国のことはどうも…」とおっしゃる方もいらっしゃいます。でも、英語ないしは外国語でコミュニケーションができたらいいな、と思われたことはあるはずです。今「もう遅い」という言い訳はしないで一言でも多く覚え使いましょう。世界が広がります。習うより慣れろです。自慢ではありませんが、私は推薦入学で大学に入ったので受験英語のような難しいものは学んだことがありません。語学系の専攻でもないし、海外に居住したことも、英会話スクールにすら行ったことはありません。そんな私でも英語でビジネスをすることにより収入を得ています。ビジネスの世界では英語力そのものよりも話の中身や人格が問われます。むしろ立板に水のようにぺらぺら話せる人より、ぽつぽつと説得力のある人の方が交渉に成功したりもします。
客観的にものごとを見れること、そして柔軟に対応できること、これが国際化時代の日本人のテーマのような気がします。日本人やややもすると自分の好みや先入観で物事を判断したり、自分の机の上だけが全世界であるかのように思っている人が少なくありません。そして、思わぬ出来事に遭遇したり、ふだんのライフスタイルが通らない外国に行ったりするととたんにパニックになる人も結構います。
昨日まで日常生活のことしか頭になかった方、日本でのビジネスしか経験のない方、国際人には誰でもなれます。そんなヒントやトピックを来週からお届けします。また、すでに国際人している方は私なりの視点をお楽しみ下さい。
河口容子