相変わらず癒しグッズのブームが続いていますが日本のクライアントが20代から40代の働く女性 200名弱にアンケートを取りました。日常的に癒しを感じるものとして、動物、音楽、自然(植物や風景)、アロマ、ぬいぐるみ、人(家族や恋人)と言う順で、食事やお茶の時間という回答もありました。あまりにもささやかな、と言うべきか、正直何だか貧しいというという気もします。おそらくヨーロッパ女性なら人(家族や恋人)、快適な住空間という回答が来るような気がします。アセアン諸国でも同じような気がしますし、香港人なら仕事の後家族や友人と食事やお茶を飲みながら過ごすこと、かも知れません。
また、20代の女性に対する「ストレス解消法」については、寝る、ごろごろする、しゃべる、入浴、買い物、ペット、という回答順です。50代なかばの私としてはあまりにも自己中心で安易な時間の過ごしかたに「ゆとりのなさ」を感じてしまいます。
日本社会の特徴に「人間関係のむずかしさ」があります。日本人は殺人事件の大半が家族や交際相手などの一番近い相手によるものという恐るべき結果が出ているのもその証拠でしょう。また、お手伝いさんを雇いにくい風土というのも、「会社に使われても個人に使われたくない」という雇われる側のプライドや人にもよりますが「かえって気を遣う」雇い主側との感情がもつれるからでしょう。
ビジネスにおいても昔は「和」、今は「空気を読む」。いつまでたってもイエスかノーかはっきりしませんし、論争を避けようとします。表でホンネが言えないから裏で愚痴る、あるいは遠まわしにそれとなく知らせるという文化がえんえんと続く。これらは日本の国際化をはばむ理由でもあり、上記の癒しの対象のランキングに「人」がなかなかあがって来ない理由なのでしょう。
最近、女性側からの一方的な婚活ブームですが、ある記事によれば女性の平均年収は 291万円で男性の約半分です。しかも女性の年収のピークは30代前半でそれでも 299万円です。あとは年を重ねるごとに減って行きます。この年収では「お一人様」で世界一長寿の人生を終えるのは親からの遺産でもあてにできない限りいささか厳しいものがあります。一方、男性の独身率が伸びています。最近までは低収入の男性は結婚できないと言われていましたが、最近は高学歴、高収入の独身男性もふえています。女性向けの高額品市場がへこんでいるのに比べ、男性向けの高額品市場にスポットライトが当たっているのもそれを物語っているような気がします。
私の世代の女性たちはほとんど結婚しており、独身でずっと仕事を続けている人たちはほとんど経営者や管理職、高等専門職です。特徴として見られるのは住空間の充実。定年を見据えてのマンションの買い替えや家のリフォームなどがよく話題となり、ギフトはインテリア用品やちょっと珍しいスキンケア化粧品だったりします。仕事がうまくいった場合は大きな癒しとなりますが、男性に自慢をすると妬まれたりいじめられたりするので、女性どうしで自慢をするという傾向にあるのが寂しい気もします。ただし、女性の社会進出に非常に制限があった時代から信念と覚悟を持って生き抜いて来たからこそ、腕を磨く事も含めライフ・プラニングもしっかりできたので若い世代より結果として恵まれたと言えるかも知れません。
河口容子
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