[021]文化的であること

 先日、東京ドームで開催された「テーブルウェア・フェスティバル」に行って来ました。これは一般の人も入場が可能で、しかも写真撮影も許可されています。ウィーク・デーでしたが、ビジネスマン、テーブル・コーディネータ、主婦でこれが不況かと思うほどの盛況でした。即売もあるのでほとんどの人が帰りには重い袋をぶらさげてにこにこと帰っていきます。
 海外に行ってつくづく思うのは、日本の食文化の豊かさです。それが器や食卓の小物にも現れ無限大のコーディネーションを生み出します。洋と和の融合、あるいは洋陶のシノワズリー(中華趣味)を受容できるのは日本ならでは。四季の移り変わりやお祝い事など、食物のみでなく食卓全体で表現するというのは何と奥深い文化でしょう。幅広い年齢層の主婦の方が来場していることからいくつになっても学ぶ事を忘れない、そして家族のために配慮を怠らない日本女性のすばらしさを改めて認識しました。
 最近は何にでもマヨネーズをかけて食べる若者や激辛料理好きの家族がテレビで取り上げられていましたが、毎日欠かすことのない食にこれだけの文化を持った国にせっかく生まれてきたのですから、味わい、伝承していってほしいと思います。
 イタリアのマンマは家族思いだし、フィリピン女性も献身的ですが、日本女性の良さというのは「おけいこごと」の伝統に現れているように、学びの精神や文化的なところにあると思います。たぶん成人の女性でクラブ活動やサークル活動も含め「おけいこごと」的な経験はほとんど誰もが持っていることでしょう。考えてみれば、才能の有無に関係なく、職業に直結するものでもないのにこんなに時間とお金をかけるというのは「ぜいたく」でもあります。
 さて、私と言えば会社員時代に陶器や硝子器の輸入をしたことがあり、現在は輸出をしています。個人的にも好きな商品群です。家具の担当をしていた時に個人的にインテリアコーディネータの勉強もしました。テーブルコーディネートも特に来客時などさり気ない工夫をこらすのが好きです。知人がお店をオープンする時お皿やスプーン、フォークのアドバイスを求められたり、友人がVIPの接待の予行演習にお店のチェックをするために呼んでくれることもあります。また、テーブルを彩る花については、生け花、ハンギングバスケットの勉強をしたことがありますが、その後切花の輸入の仕事もめぐってきました。仕事と道楽が一体となった幸せな例です。
河口容子