住民基本台帳ネットワーク接続にむけて毎日大騒ぎです。そういえば昔からこの話があったのを思い出しました。なぜ土壇場にならないと日本人は騒がないのでしょう。一般市民は毎日公私にわたり起こるさまざまな出来事を追いかけるだけでも忙しいのでそればかり注目していられないのは当然かも知れませんが、専門家やマスコミはなぜ今まで黙っていたのかも不思議な気がします。
国民の情報の一元管理、事故がおこらず、情報の取扱について見識のある人ばかりならこれは行政の業務の効率化につながり、国民の利益にもつながるはずです。まず、みずほ銀行をはじめ多発しているオンライン障害、ハッカー問題。そして警察や学校が勝手に地方公共団体で個人情報を調査したりという現状では、「全国どこでも住民票が取れる」だけで喜ぶ人はまずいないのではないかと思います。だいたい、そんなに全国でしじゅう住民票が必要な人がいるのでしょうか。
最初は住所、氏名、年齢だけでも、家族構成や病歴、職歴なども管理されるようになったら、万が一、その情報がもれればいろいろな悪用をはじめ、差別されるという危険性まではらみます。しかも、一旦出てしまった情報は取り返しがつきません。
私が自分の会社の登記を終えて1週間もたたないうちに経営コンサルタント会社から開業祝と売り込みの封書が着ました。もう1社からは営業の担当の方がいきなり来社されました。友人、知人にも開業の挨拶はがきが着いたかどうかという時期です。法的に開業したかどうかを知っていたのは法務局と税務署、そして銀行くらいなものです。この3者のいずれかが情報をもらしている事は確かです。
また、自宅の電話に会社の電話と間違えて法人向けの売り込みをかけて来た人もいます。名刺には自宅の電話番号は印刷していないし、不思議に思い、誰からこの番号を聞いたのかたずねると、リストを買ったらこの会社の電話番号はここであると書いてある、と先方も不服そうでした。自宅の電話番号と社名をあわせて知る個人や企業は限られています。その中の誰か情報として売ったのでしょう。
ある著名な雑誌に私の会社に関する記事を出しました。担当者は代表者が女性の場合は安全面もあり、フルネームで掲載しない方が良いとアドバイスを受けました。それにも拘わらず、起業相談という名のもとに深夜に何度も電話をかけられるという事件が2度も起こりました。
先日、知人が秋葉原行ったところ、盗聴、盗撮用の機器が山のように売られているのに驚いたと言っていました。防犯用だけならともかく、冷戦時代のスパイや産業スパイのような行動が個人の生活にまで及んでおり、ビジネスや嫌がらせのネタにとエスカレートしているようです。住基ネットの接続よりは上にあげたような情報の取扱いに関する取締りや罰則規定の強化を先にしてほしいものです。日々進化する情報手段、個人の生活を便利にもしましたが、かえって忙しくもし、また不快さもふやしたことは確かです。
2002.08.08
河口容子