私は自分の会社を作り、商権ゼロからスタートしました。取引先はほとんど自力で初対面から開拓したものです。大企業に勤務していれば、多少第一印象が悪かろうが、何らかの理由でその日不機嫌であろうが、会社の看板や肩書きで最低限の信用を得ることは可能です。理屈では誰でもわかっていても在職中会社の看板のありがたさを感じることは少ないと思います。いったん独立してしまえば、第一印象がまさに勝負、自分のビジネスチャンスになるかどうか、あるいは相手を信用していいかどうかの分かれ目となります。
いつも心がけているのは、相手の立場にたって、どんな情報がほしいのかを考え準備することです。したがってお渡しする会社案内も相手によってまた取り組む内容によって添付資料の構成をいつも変えています。そして、相手の組織や商品に対し、好意をもって積極的に質問することです。誰でも自分の所属する組織や商品、サービスに対し関心を持ってくれればうれしいものです。これは印象を良くするためのお世辞ではなく、相手からの応答はこちらにとっても今後の取り組み方を決める大事な情報となります。
昨年、広州の量販店のバイヤーたちと会ったときのことです。たまたま広州に出張中であった知人の流通コンサンルタントが彼らにレクチャーをして意見を聞いてみたいというのでそういう機会をアレンジしました。彼としてはクライアント獲得のチャンスでもあります。彼は大学院でもマーケティングを専攻し、日本を代表する流通業3社に籍を置いた理論派のコンサルタントです。結果は見事失敗でした。バイヤーたちはもっと現場で日々役に立つアドバイスがほしい、独善的な態度が好ましくない、とその第一印象を評価したようです。彼自身も後日、国家機関から招聘され中国にわたって何年も仕事をしてきたため、自信や責任感がいつの間にか不遜な態度に変わっていったと反省していました。