元旦からユーロになったものの、スーパーや一般企業が営業開始したのは1月2日から。新通貨が引き起こすちょっとしたパニックに遭遇し始めたのもこの日からです。
ユーロ表示がされる様になったのは昨年秋からだから充分に準備期間があったわけなのに、いざそれが流通し始めたら周辺がやたらめったら興奮気味。初めて海外旅行をした時に購入した外貨を手にして大喜びした自分の姿を思い出してしまいました。でも微笑ましいと感じたのは1月2日のみ、それ以降は私の生活までパニック。
3日の朝、ランチを買うお金(ユーロ)がない事に気付き手持ちのフランを持って近くの郵便局へ。始業時間の8時半まえなのにものすごい行列。待っていたら午前中が過ぎてしまうと思い銀行へ。銀行は更にすごくロビーには溢れる人、カウンターにはお札の山を抱えてユーロ交換しているお年寄りがいました。フランスにも「箪笥預金」という言葉があるのかもしれないと思いました。その日の交換は諦めCD機でユーロを引き出したらその小ささに「まるで子供銀行」などと思い、後日手にした硬貨の真新しさに「やっぱり子供銀行」と感じてしまいました。
2月下旬までフランが使用可能のため買い物をすると必ず「支払いはフラン、ユーロ?」と聞かれます。フランで支払ってユーロのおつり。スーパーのレジのように自動に表示してあれば困らないのだろうけれど、手計算で金額を出している朝市ではおつりの計算に困り果てる店主の姿を見かけました。井戸端会議のテーマはどこも「ユーロ」。「ユーロ使った?」がまるでご挨拶のよう。
ユーロがホットな話題で会話を弾ませている中、私の頭を悩ませているのはコインランドリー。アパルトマンに洗濯機のない私はいつもコインランドリーにてお洗濯。ユーロになってから初めてのお洗濯に出掛けたら、コインが「フラン」のまんま。市内数件のランドリーを回ってみたけれどどこもフラン表示のみ。簡単な張り紙があり「近日中にユーロにしますのであしからず」とあるけれど、あれから1週間近くたってもどこのランドリーもフランのまま。
1月1日からユーロだって前から決まっているのになんで。この手際の悪さ日本では考えられない。些細な難点ですが日常生活でこんな事が起こる時、改めて「何て日本はきちんとしている国なんだろう」と思ったりもします。海外に住むようになって養われた能力の中に忍耐力と寛容さがあるかもしれません。
夢路とみこ