[039]ヴァンダンジュ

私が日本にいた時から私の周りはいつもワイン好きの知り合いばかり。でもフランスワインが大好きでそればかり飲んでいるという知り合いは少ない。最大の理由は日本で販売されるフランスワインの価格がとっても高いから。確かにフランスワインは他の国のものから比べると高いし、高いのしか入ってないような印象も受けます。
時々知り合いに頼まれてワイナリー見学の付き添いで出かける事があります。輸入するものを買い付けに来る人は多く、大手は既にルートが固定しているので小規模のワイナリーで現地で買うとお手頃ですがやはり日本に出ると数倍になってしまうとか。それは税金、輸送費、管理費など諸々の事情があるようで。でもやはり南仏から比べるとここでも高いと感じるのはブルゴーニュワイン。
ブルゴーニュでは殆どが葡萄の収穫に機械を入れず人の手で摘み取ります。有給休暇を取ってキツイ、キタナイ、キケンのヴァンダンジュに出掛ける私を同僚は「アル中だ!」と笑って送り出してくれました。しかしこのヴァンダンジュなる収穫は1週間から10日かけてやるバイトですが本当にしんどい。1日8時間まるまる中腰で剪定ばさみを握って畑をうろうろします。慣れて余裕のある人は歌まで歌っちゃいますが、私は葡萄の蔓と格闘するのみ。


ワインのおしゃれさからは想像もつかないくらい重労働です。服は畑のぬかるみでどろどろになるし、9月も下旬とは言えどもかなり暑いので半袖のシャツを着てますが腕は蔓のひっかき傷だらけ。中腰のため最初3日間は太ももが蛙のように腫れ上がり痛い、葡萄を入れる籠を運ぶので腰も痛い。なんでそこまでするのか?好奇心だけなら最初の1回で懲りるはず。。。。。
私がヴァンダンジュを好きで毎年これを楽しみにしている最大の理由は、ランチタイムにワインが飲み放題だからです。やっぱりアル中と言われても仕方ない?摘んでる時は歌う余裕なんてないけれどランチタイムに皆と一緒にテーブルを囲みワインを酌み交わす事で国籍を超えた連帯感が湧き、午後の仕事は息もぴったり。ここで知り合うフランス人はみんな素朴で気持ちがすこしリラックスします。
決して魅力ある賃金ではありませんがでも自分の好きな味のワインを作るワイナリーで摘める喜びは無償のものだと思います。残念ながら滞在許可書のない外国人がこれに参加することは出来ませんが、もし仏留学を考えるならこの時期を狙って一緒にヴァンダンジュしませんか。
夢路とみこ