[040]ディジョンのマルシェ

毎週火曜日、木曜日、金曜日そして土曜日はディジョンで大きな朝市が立ちます。市が立つと言ってもディジョンはいちおうにも都市ですから屋内マーケットです。19世紀の産業革命の影響を受けブルゴーニュで最初に建築された鉄筋建築物というのが自慢らしい。でも内容も自慢出来ます。ここはブルゴーニュ人の胃袋そのものです。
私は自称グルメ、周囲に言わせると「くいしんぼう」という事でこのマルシェが大好きです。スーパーから比べると割高ですが近くの村で栽培された新鮮な野菜やそれぞれのお肉屋さんの味が良く出ているお惣菜が好きで良く買います。お惣菜は100グラム単位から買えます。知り合いが日本から訪ねて来たら必ず観光案内にここを選ぶし、また一緒に買い物をして我が家で昼間から一杯というのはいつものお決まり。


最初の1年目はこのマルシェで何度もドギモを抜かれる事がありました。当時は巷に狂牛病の話題が溢れ肉屋を避け魚屋さんに大行列が出来ましたが日本とは魚が違うのでびっくり。イワシがまるでアジのように大きいし、黄色やオレンジ色の魚はどう料理するの?という感じでした。肉屋にはブダの首が置かれ豚肉専門店の看板やってるし。秋のジビエ(野禽)の季節になると可愛いお姉さんが笑顔で野ウサギの皮を剥ぐのを見て失神しそうになりました。でもキノコの種類には感動的なものがあります。
ディジョンを観光案内する際にいつも「マスタードはどこで買うと良い?」と訪ねられるので私はいつもマルシェのマスタード屋さんに案内します。1軒しかないからすぐに分かります。ディジョンマスタードのメーカーで私が一番美味しいと思うので人にあげるのもいつもここで買います。Temeraireテメレールというメーカーです。ブルゴーニュ大公の名前をかたるだけあって美味しい。特にBasilic バジル入りのマスタードが私の好みです。
最近は日本からのお客様が私の会社の船に乗船してフランス観光をされます。その時は私も乗船して船内の通訳やコーディネートをしますが、お客様にマスタードのことを聞かれるとこれを勧めます。ディジョンにはたくさんの種類と味があるから自分では決め兼ねるとか。私もバジルにたどり着くまで何本マスタードを食べた事か。お客様が帰国後に船内で撮った私の写真を送ってくれる時に必ず「あのマスタードとっても美味しいです。」とメモを添えてくれます。私のくいしんぼうはこれらもディジョンの美食を追及して行く事でしょう。
夢路とみこ