私の周囲のフランス人に言わせるとヌーボー、ヌーボーとうるさいのは日本人だと言い張ります。私に言わせるとワイン祭りが一つ増えて喜んでいるのはフランス人でしょうが。日本人にかこつけているけれどフランス人だってこの日は昼間から飲むし、会社でも社内メールで「ヌーボー到着、昼食時間に食堂にて試飲会」と回って来た。確かに一番乗りは私だったが。。。。。。
ヌーボーの販売促進したのは日本人かもしれないけれど最初にこれに目を付けたのはイギリス人だと聞きました。要するに外国人が騒ぐまでボージョレのワインは誰も見向きもしなかったとか。ルイ14世は心臓病を患っていて主治医から赤ワインがよろしと処方されパリに近いこのブルゴーニュからワインを取り寄せた事に端を発しこの近辺のワイナリーが栄えたらしい、けれど、ボージョレは「まずい」と言われ当時は蔑まれていたとか。
近代に入りボージョレの帝王とも言われるジョルジュ・デュ・ブフの活躍も手伝ってヌーボーをかわきりに世界でボージョレが知られるようになりました。でもボージョレってヌーボーしかないと思われているのが残念。ヌーボーはお祭り用でこれがボージョレ地区のワイン総体と思われては困る。ここには10のクリュ指定の素晴らしい畑があり、ボージョレはその底辺に当るワインです。サンタムールやジュリエナ、コート・ド・ブルイィなんてブルゴーニュワインに引けを取らぬものです。
解禁は真夜中だからボージョレ地区ではそれぞれの村に特設お祭り会場が設けられ予約制で晩餐会が開かれるらしい。この辺はブルゴーニュの栄光の3日間と似ている。そして朝まで飲み明かすようです。残念ながら私はこの祭りにまだ一度も参加経験なし。とにかく晩餐会チケットの入手が困難なので。だからいつも当日はまず社内食堂で飲んで、夕方酒屋に掛け込みます。この日気の利いた酒屋なら無料試飲会をしています。
フランスに来るまではヌーボーと言えば「ボージョレヌーボー」のみと思いきや、蓋を明けると様々なものがお目見えしました。まずは、ボージョレヴィラージュヌーボー、ボージョレより更に良い畑で取れた葡萄と聞きました。そしてコート・デュ・ローヌヌーボー、ボージョレより南だから収穫が早く仕込期間もやや長いからこれまた美味し。驚いたのはミュスカデヌーボーなるもの、白ワインのヌーボーです。
この国のワイン文化の理解と追求には頑丈な肝臓が第1条件かな。
夢路とみこ