[051]バーランチのすすめ

仏語でMange Tout(マンジュ・トゥ)とは全部食べれる。という名前のさやえんどうのようなお豆のこと。ディジョンのRue Monge、モンジュ通りにこの言葉をもじったバーがあります。店の名は、Mange Tout(マンジェ・トゥ)ならずのMonge Tout(モンジェ・トゥ)。
この店はバーだから様々なメニューというのはありません。店内は常連のおやじが集まって井戸端会議をやっているから女性の一人旅ではちょっと入り難い気もしますが、そこは勇気を振り絞って堂々と入ってください。
毎日ランチタイムから閉店時間までPlat du Jour(プラ・ド・ジュール、本日の1品)が食べられます。7.50ユーロで1/4dlのワイン付き。有名なワイン産地、ここブルゴーニュにいるのに料金が安いせいか南仏の安いワインが出ます。ワインは正直なところあまり美味しくありません。むしろビールの方が美味しそうなのが幾つかあり、Bier d’Abbey(ビエール・ダベイ、修道院のビール)でも注文した方が賢明かも。
この値段だし、このワインだからあんまり美味しい物が出ないのでは?と最初は私も不安に思っていました。ところがどっこい、さすが美食の都ディジョン、私をそう簡単には裏切らない。日本でもフランスでも常連オヤジがたむろする店は安くて美味い。


この店のBouef Bourguignnon(ブフ・ブルギニヨン、牛肉の赤ワイン煮)はレストランで出されるそれよりはソースが薄い気もするけれど、多分これも南仏の安いワインで煮こんでいるのでしょう、でもお肉の柔らかさには驚かされます。あまり美味しくない赤ワインもこれを食べながら飲むとサマになる、マッチする。だから私はこれを料理した赤ワインは南仏の赤ワインだろうと推測。
1品料理と一緒に出てくるのはPain a la campagne(パン・ア・ラ・カンパーニュ、田舎風パン)。周りの皮がしっかりと焼かれて中身はモチモチしています。本当に田舎のおじちゃんが焼いてくれたような懐かしい美味しさ。食事らしいものはこの毎日の定食だけのせいかこれに全力を尽くしているらしい。その気張りぶりが盛り付けに現われています。一応にフランス料理らしく、生のパセリを皿のふちに並べてお洒落さを忘れていません。店主の思いやりなんでしょう。
というようにフランスには超高級料理店から田舎町のバーまで美味しい物がたくさん。ほんのちょっぴりの勇気を出せば様々なグルメに出会えるチャンスがあります。旅を色々な角度から楽しむためにもこんなバーのランチを試してみるのはいかがでしょうか。
Monge Tous の住所:74 rue Monge  
電話:03.80.45.30.12
夢路とみこ