私は運河クルーズが大好き。運河は潮流がないので船に乗っても静かに漂うように進むから。座っているだけで景色が動いてくれるから。ワイングラスを片手に観光が出来るから。運河は幅が狭いので横を別の船が通っても殆ど揺れないから。沈没しそうになったらデッキからすぐに陸上に飛び乗れるから。運河沿いにはサイクリングロードがあって自転車でも徒歩でも船に並んで進めるから、と運河クルーズの魅力を語りだしたらワインについて語るのと同じで話が尽きません。
パリはどんな風に観光手段を選んでも楽しい。オープンエアの2階建てバスも良い。市内循環バスも捨てたもんじゃない。狭いモンマルトルの路地を「そこどけ、そこどけ」というように疾走するプチトランだって気に入っている。セーヌ川にまるで東名高速道路のような渋滞を招いているバトームーシュやバトータクシーだってパリをあらゆる角度から見せてくれる。でも、そんな中でもやっぱり私のお気に入り観光手段はサン・マルタン運河のクルーズ。
パリイコールセーヌ川という固定イメージに隠れひっそりと流れるサン・マルタン運河が注目を浴びだしたのは数年前に日本でも公開されたヒット映画、「アメリ」によることが多いと思います。主人公アメリが鉄橋から石をぽちゃんと放った先はサン・マルタン運河。マロニエの並木道を両脇に従えてセーヌとマルヌを繋ぐこの運河、ここは本当にパリかしらと思いたくなる位に清閑な場所です。
サン・マルタン運河クルーズルートに地下道みたいなところを通る部分があります。それは2キロメートルも続きちょっとしたカタコンブ気分。音響環境はばっちり。ここをクルーズする船は幾つかあって、この部分を通るときにサックスフォーンを聞かせてくれる船もあれば、ただただ、乗船の観光客のため息がこだまするようにと静かにしておいてくれる船もあります。でもやはり運河クルーズの最大の見物は水門を通るその瞬間。これはセーヌのリバークルーズには真似の出来ない運河クルーズならではの魅力。
運河クルーズはだいたい3時間くらいの長いものなので、ちょっとクルーズとう訳には行きませんが、パリをゆっくりと眺めるには最高の手段です。道行く人たちと会話も出来るくらいに歩道の傍を行きます。セーヌ川からノートルダムやシテ島を眺めた次はサン・マルタン運河からパリの下町を眺めてみては?
パリのお勧め運河クルーズ:パリカナル社のサイト
http://www.pariscanal.com
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夢路とみこ