米系企業に就職してまだ3ヶ月というのにうちのボスは事ある毎に「君の給料は時給にするとXXユーロで、個人事務所を与え会社は投資しているんだから何か結果を出せ!」とせっつく。ここでボスの言う「結果」とはプラス結果を意味していて現状のマイナスとはと違う。前の会社はもろ欧州系で、もろフレンチだったから、大きくそしてのんびり構えていた。これが買収に繋がった事も無視できないが、それでも外国市場への新規奇参入に対する厳しさと難しさに対する理解はまだ、ちとあった方だったと今更ながら思う。米系は厳しい!
この厳しさを普段から痛感しているせいか、それとも単に私のやっかみか、私も対価に対する評価は厳しい方だ。お金払うのだからそれに見合うものが欲しいし、見合わなないのならボロクソ言う方。それを知る周囲の人は私の商品に対する選択を信用してくれるという有難い結果も招いている。
以前から好きで飲んでいる「ローランスのお兄さんのワイン」ことジャン=マルク・ミロー氏のワインはこのコストパフォーマンスを卓越したものだといつも感じる。ローランスは前の船会社の同僚。芸術品としてのワイン、商品としてのワイン、ワインが背負う二つの運命について彼女から学んだ。人手不足だし、畑も小さいからという理由で生産量を限定し、その分、愛情たっぷり注いで作っているのがよく分かる。BIOワインではないけれどナチュラルにとても近い醸造法なのが飲めば一口で分かる。お兄さんの作るクロ・ド・ヴージョやエシェゾーなどの高級品ではなく、私は安価なパス=トゥ=グラン Passetoutgrainのお得意様。
このパス=トゥ=グランなるもの、白ワインのアリゴテ同様にブルゴーニュならではの赤ワイン。他の地方では作っていない。これはブルゴーニュ代表の品種ピノ・ノワールとボージョレで馴染みのガメイの2種類の黒葡萄の果汁を掛け合わせて作るワインと言えば簡単だけど、仕上がりは難しい。この掛け合わせる比重は造り手の好み。高級品種であるピノ・ノワールを多くする人もいれば、割安なガメイを多くする人もいる。割安なガメイでも、ボージョレ地方に行けばガメイだけで高級ワインでこれまた私が大好きなムーラ・ナ・ヴァンMoulin a Ventが出来るのだから侮れない品種のひとつ。難しいから当たり外れも多く、アリゴテ同様に本当に美味しい作り手を探すのが大変。
お兄さんのこれはケースで買っても25ユーロ程度、これそコストパフォーマンス
Jean Marc MILLOT
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夢路とみこ