[172]マスタード博物館(2)

「マスタード」はフレンチグルメ調味料の代表格としてその本拠地がわが町、ディジョンである事はすでに周知のことですが、近年、ワインの本拠地ボーヌにマスタード博物館が出来て人気沸騰中のため偵察に出かけてみました。本家のディジョンの博物館に対抗して新たに博物館を作るとは大した度胸じゃないの、ちょっと見せてもらおうか、と意気込んで行ってみたら。。。。。あまりの出来の良さに感動してボーヌのマスタードを買っちゃった。美味しければディジョンもボーヌもないわよ、胃袋で融合するわよ、と勝手な解釈をしながら。
ボーヌのマスタード会社「ファロ」のマスタードはミッシュランの星付きシェフからうちの船のシェフまで幅広く使われていて、うちの船のシェフによれば作る料理によってディジョンのマイユかボーヌのファロに替えるらしいけど、どう使い分けるのかまでは企業秘密と言われてしまった、そして、自分の舌でどちらのマスタードを使ったか当てて見ろとも言われて、くぅーんと鼻を鳴らして船のキッチンを去った。ケチー!


ディジョンのそれが食文化としての位置付けとカラフルな広告ポスターが中心なのに対して、ボーヌの博物館は後発という利点もあるせいかオーディオガイドのヘッドフォーンを付けてマスタード製造工程とその用具について説明するというもの。また入場料も10ユーロという事もあり製造を体験させてもくれる。面白いと思ったのはワイン造りの際、樽にこだわるようにマスタード造りでは粒を挽く石臼にこだわるよう。石臼を使用することで香りや辛味を損なわないという理由があるようで。また石臼の回転を早めると熱を取りそれが辛味に繋がるらしい。辛味を抑え風味を高める白ワイン入りのものが私のお気に入り。
最近では原料のマスタードをカナダ産の輸入に頼ることが多いため、マスタードでAOCを取るのは難しいらしい。でも、ファロ社ではニュイの方でからし菜の栽培を始め、昔ながらの「大公の味」の再現に努力しているようです。19世紀まではこの地方に30件ほどあったマスタード会社、でも今は僅か4件。原料のからし菜は葉っぱをサラダに粒をマスタードに、湿布薬や薬湯にも使われたというオールマイティな食材です。
ファロのサイト
http://www.fallot.comファロのマスタード日本販売店はこちら
http://www.kawabo.com/item/fallot.html
夢路とみこ
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