ディジョンで船の仕事だけをしていた頃は多足だった。マーケティングからクルー業務まで一括してこなす能力を求められた。5年半の間に得たさまざまな経験と学習がパリに来て仕事の幅を広げる機会をもたらした。
パリに出て来て、まず勤務先の船会社が変わった。元の古巣に戻り、昔の上司と仲間達と一緒に一旦倒産した会社の建て直しに関わっています。新しい雇用条件はかなり厳しい。最低賃金と歩合のみ、この給料ではパリで家賃さえも払えない。パリで追加に別の仕事をしたいけれど現在保有の労働許可証がブルゴーニュ限定のため、パリの企業では就職が出来ない。上司は何度もパリに来て労働局と掛け合ってくれ、会社の弁護士も動いてくれたけどEUの拡大で移民が多すぎるパリでは許可証の書き換えが不可能に近い。
もう駄目だ、と思ったときに縁があって日本の食品輸入会社の仕事を手伝うことになる。ここの社長とは数年の付き合いで、私が大食漢で多少なりにも食材に関する知識があることに興味を示してくれたようだ。船のシェフとは仲良しでいつも料理や食材について教えてもらったことが幸いしている。その仕事のためにチーズを探したり、生ハムを試食しまくったりと貧乏ながらにも美食に預かれる。この社長の好意でブログをもたせてもらうことになりました。ブルゴーニュ通信局が文章でフランスの魅力を紹介なら、こちらは写真中心で魅了します。私はカメラ小僧でデジカメお嬢。事情があって来たくても来れないフランスファンのために、本通信局と私のブログ「西欧食文録」で私のご近所さん気分を味わってもらいます。
そして、ブログはもう一本。こちらは仕事の延長にある訳でなく、単にサイトオーナーのご好意のみ。福岡にある輸入雑貨店でフランスに精通している方がフランスの地方の魅力をブログにしないかとお誘い頂き、プッツン、プッツンと入稿に切れ間があるけれどもこの国の魅力をもっと掘り下げて、さまざまな視点から紹介しています。
今は船の仕事、食の仕事、ブログのライター、旅行企画手配、現地アテンド、アパルトマンホテル等のマーケティングと「多足」どころか「タコ足」状態。全ての基本が「フランスが好き」にあります。
フランス便り
私のわらじは多足かな
夢路とみこ