フランス語でBar a Vin(バー・ア・ヴァン)はワインバー。つまりグラス1杯から気軽に色々な種類のワインが楽しめる店のこと。私のペースと量に合わせてしっかり飲んでくれる人と会うときはビストロへ行きボトルオーダー、一人の時はワインバーと使い分け。バー・ア・ヴァンはカウンターでも飲めるからバー、日本で言うところの「立ち呑み」ってやつ。日本に帰りホテルで荷物を解いて駆け込むのは東京なら「立ち喰い蕎麦」屋。大阪なら「立ち喰いうどん」屋。これはディジョンのワインバーでボーヌから北に向うワインを飲み、ボーヌのワインバーではボーヌから南に向うものを飲みたい。飲んでいる場所に近い畑のものを飲む事で頭の中で「葡萄栽培の1年」が走馬灯になるという私だけの変なこだわり。
先日出張で日本に行った時のこと。銀座でチェーン店のカフェにお茶をしに入った。後ろから来た外国人旅行者が外国語訛りの強い英語で「お肉や卵を使用していないサンドイッチはないですか」と聞いていた。でも、彼の英語、訛りが強すぎて通じてない。おせっかいかな、と思いながらこちらも英語で「ツナサンドがありますよ」と勧めたら、なんとその人はベジタリアン(菜食主義者)と分かり、ハム抜きサンドを代理注文した。やっと彼の訛りの強い英語が通じこの旅行の大変さを訴える相手が見つかった事で彼の苦労話が堰を切った。日本人の常食は精進料理だと思い込んでいたらしく、言葉の壁もあって食事には大変苦労してると。菜食主義だから基本的にはお肉、お魚、卵、乳製品が駄目のようだけど、んな事言ってたら飢え死にするよ、と半ば脅かし、「立ち喰い」シリーズを教えてあげた。
お酒を飲むなら「立ち呑み」野菜だけのおつまみも充実だよ。関東滞在中は「立ち喰い蕎麦屋」、関西に行ったら「立ち喰いうどん屋」おにぎりもおいなりもある。えっ、魚で出汁を取ってる事、そんな事行ってたら禅寺しか行くとこないよ、我慢しなさい。と諭し、ついでに大阪駅の私のお気に入りの「立ち喰いうどん屋」については地図まで書いて渡した。ここでも私は観光ガイド。
大阪駅御堂筋北口にある「にしき」というお店が好き。テーブルにゴマがあり、いつもたくさん掛ける。BGMが大阪音頭のようでとっても日本情緒を感じる。「立ち喰い」を英語でStanding NoodleBar、仏語でBar a Nouilleと言い切るのは私だけでしょう。
夢路とみこ
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