前にも書いたことがありますが、海外生活で一番心配なのは突然の病気や怪我。貧乏は耐えられてもこれら二つは耐え難く、生活は切り詰められても健康はそうにも行きません。一応には気を遣っているものの、やっぱり人生も平均値の半分以上を生きたせいか、あちらこちらにガタが。そうなっていしまった以上、メンテナンスに努力をしなければ。海外では医療費が高い上に保険もイマイチ複雑なんです。
例えば日本なら社会保険にあたるSECUセキュ、治療費の一部を国が負担してくれる点は日本と一緒だけど、日本のように個人が全体の一部を負担するのではなく、こちらでは個人が全体を負担し、清算書をセキュのオフィスに郵送し7週間後に払い戻しが来るというのです。つまり受診するまえにある程度の費用を持っていないと治療すら受けられないのです。清算書の郵送が遅れると払い戻しも遅れる、そして払い戻しの額も大したことないというのが事実。
フランスではかかりつけの内科医を指定することが義務付けられています。その医者からの診断書なしに専門医に直接行くと、このセキュの払い戻しがないという事もあります。眼科、歯科、婦人科のような特殊専門医は別ですが、でも外科に行く前にまず掛かりつけの内科の診断書という流れです。ですから治療を受けるとき、まず掛かりつけの内科医に予約を取ることから始めます。先生が夏休みとかの休暇シーズンに入って不在だと大変。
急病の時はSOS何とかというその専門へ行けるけど、そうでない場合は掛かり付けが戻るのを待つか他のお医者様の所へ。でも他だと診てもらっても、やっぱりその先生の処方箋をもらっていつもの先生の所に戻らなければなりません。私の掛かり付けだから。ただ診て貰うだけでも基本料金の25ユーロに対する保険の払い戻しは7ユーロとかそんなもの。それも1ヶ月とか2ヶ月あとで忘れた頃に口座にはいっている。
セキュリティーソシアル(社会保険証)のカードを行きつけの薬局に登録すると保険適用のものについてはその場で支払う必要がないと聞きます。気の利く薬局は登録してなくても代理に手続きをしてくれるので、そこで薬を購入すると保険適用後の価格で買えます。処方箋とは関係ない薬品については、モンパルナスやオペラ座の格安薬局で購入。後は中華街の漢方薬局があるから大丈夫。でも普段から薬の代わりに中国茶やハーブティーの摂取で予防に余念がありません。
夢路とみこ
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朝夕と今は掛け持ちで2つの会社に出勤し、空いている時間にマーケティングや翻訳、そしてときどき観光アテンドの仕事もするのですが、この中で一番大変な仕事は観光アテンド。私の場合、個人ツアーを引き受けることが多く、また雇われる目的も何か特定のものに興味がありそれについて説明しながら同行するという事が多いのです。
良く受けるのが、私にとっても合っている「食べ物系」のお仕事。ワイナリーを見学したり、チーズを買いに行ったり、減少しているものの時にはお星様レストランへの同行もあったりします。そこだけ話すと大抵の人が羨ましがってくれますが、何時間もの間、ワインやチーズ、フランスの食文化、テーブルマナーについて話をしなければなりません。お客様の注文を通訳するだけではなく、彼らの質問に答え、日本との比較を示し、そして「この人を雇って良かった」と思ってもらえるような情報提供もしなければなりません。これが私の考える「アテンドのお役目」なんですが。だからゆっくりと美食を味わっている暇がない、美食ものどを通るのみ、美味しいとは思うものの味わう時間がない!
こちらから提供する情報や知識の蓄積のためにこのISEAのようなカルチャースクールにも通うし、試飲会があれば疲れ果てていても夕方の仕事が終わってから出かけるし、また異業種交流会も二つの幹事をしているので、それも企画して出席しなければなりません。貧乏暇なし、貧乏なのにいろいろ費用がかかることばかりするから更に貧乏になる。貧乏が輪廻のよう。
異業種交流会もそうですが、やはりテーマを持って人が集まるということは知識の泉に飛び込むようなものです。特にこのカルチャースクールはフランス人が集まっているので、フランス=議論好き、だから前から後ろから、右から左からと私と机を並べている人たちがやりを突くように発言します。問題なのは、彼らは発言の順番待ちというのはなく、好き勝手になのでここは発言無法地地帯化です。そのとき瞬間聖徳太子にでもならない限り、皆の発言を整理して理解することは出来ませんが、それを2,3拾って噛み砕いただけでもこの講義受講料の15ユーロの価値以上のものが得られます。そしてこの講義には試食もありこれがやっぱり一番の楽しみかな。美味しいチョコレートを食べてそれに語るとき、受講中は「私は貝になりたい」だったのが一転して「口には戸は立てられない」になります。
夢路とみこ