仏語でぺシェミニヨン(Peche Mignon)という言葉があり、意味は罪なき悪癖、つまり道楽らしい。ホームステイしていた頃、好物の柿の種をマダムと分け合って食べた。ここには塩味のお菓子がなく、あってもポテトチップスや塩ピーなどのお酒のおつまみで塩味のお茶菓子がない。そのせいか、フランス人にはよく受ける、誰にあげても喜ばれるのが柿の種。これを食べるとき嬉しさに目を細めてマダムが発した言葉がこの「ぺシェミニヨン」なるもの。でもどこが罪と繋がるのかと尋ねてみたところ、おやつは太るからあまり食べちゃいけないけど、これは美味しいから悪い(つまり悪行)と分かっていてもついつい食べちゃう事がどうやらこのぺシェミニヨンに繋がるらしい。ふむふむ、そうか、では私のぺシェミニヨン、いや大罪はワインだ。
[113]にわかブルギニヨン体験
アメリカでテキサス人が「私はアメリカ人である前にテキサス人です。」と言うのを良く聞いた。これは良くも悪くもこの州の人を良く表している言葉だった。南部人のプライドの高さと情熱的な所を表す半面よそ者を中々受け入れない厳しさを込めた表現だった気がする。人種の坩堝でフレンドリーさにかけては米国随一と思うのはやはりカリフォルニア。さて我フランスではというと、このブルゴーニュがテキサス、プロヴァンスがカリフォルニアのような気がます。
新天地での生活は誰にとっても難しいもの。異文化の中、外国語生活のストレスはエンドレス。でも、異文化と外国語を一気に短期間で味わうならばやっぱりホームステイが一番。私のディジョン生活もホームステイでスタート。私のステイ先は料理上手なマダムの家。買い物にはよくお供をしてマダムご用達のチーズやお惣菜の美味しい店知ったので今は私も常連客。うちの船のシェフがニンマリとするくらいに私がフランスの食材や調理法についてちょっと知識があるのもマダムのお陰。山歩きとちょっとしたお出かけが好きなマダムとは現在でも時々一緒に出かけています。
ホームステイ先には様々なものがありいつもいつも快適とは言えません。ホームステイと言いながらもただの貸し部屋で家族とは挨拶程度しか交わさないところや、食事付きと言いながらも缶詰、冷凍食品はたまたチンしたものだけというのも珍しくありません。入居したら同じ家に日本人が4人もいたとか。私のように毎日美味しいものを頂き、ワインは好きなだけ飲ませてもらい、テレビが大好きな私のためにドラマ解説からクイズ番組には辞書を持って付き合ってくれるマダムは好奇心旺盛で珍しい。私の場合、予算が破産するくらいにワインを飲みまくりました。私が入居してしばらくするとマダムが毎月ワイナリーに30リットル樽を買いに行った事実は笑い話のひとつにもなるほどに。
フランスをこよなく愛する人を「ココリコ」と呼びますが、彼女は「ココリコ」の上に「ブルギニヨンヌ」。フランスをもっと広く、そして深く知ってもらいたいというのが彼女の願い。だから閉鎖的なブルゴーニュにあって彼らの日常を垣間見るのならホームステイはひとつの手段。マダムは3日間滞在からの「プチホームステイ」(朝食、夕食付きで3泊180ユーロ)もOKなのでディジョン観光の際、にわかブルギニヨン体験はどうですか?
マダムへの問い合わせ窓口(日本語可): Burgundychary@aol.com
夢路とみこ