[115]ペシェミニヨン

仏語でぺシェミニヨン(Peche Mignon)という言葉があり、意味は罪なき悪癖、つまり道楽らしい。ホームステイしていた頃、好物の柿の種をマダムと分け合って食べた。ここには塩味のお菓子がなく、あってもポテトチップスや塩ピーなどのお酒のおつまみで塩味のお茶菓子がない。そのせいか、フランス人にはよく受ける、誰にあげても喜ばれるのが柿の種。これを食べるとき嬉しさに目を細めてマダムが発した言葉がこの「ぺシェミニヨン」なるもの。でもどこが罪と繋がるのかと尋ねてみたところ、おやつは太るからあまり食べちゃいけないけど、これは美味しいから悪い(つまり悪行)と分かっていてもついつい食べちゃう事がどうやらこのぺシェミニヨンに繋がるらしい。ふむふむ、そうか、では私のぺシェミニヨン、いや大罪はワインだ。


フランス料理界にはミッシュラン3つ星以外の栄誉で私が聞くのはMOF,Meilleur Ouvrier de France.つまりフランス最高峰の職人を意味するらしくお菓子屋さんでよく見かけるのですが。3つ星がシェフならパティシエへの栄誉はこれなのかも。いずれにせよ国のお墨付きの美味しいものを出してくれます。ディジョンにはそんなMOFのショコラ職人の店があります。カメラ小僧の私はショーウィンドーを眺めるのが大好きで市内散歩は専らこれを眺めること、だから頭の中はまるで市内の地図帳。美しい装飾を幾つも見ていますが、このショコラ職人の店、「ファブリス・ジロット」はショコラの彫刻が見事。もちろん味も良い。辛党の私でも美味しく頂ける位に甘さ控えめで食べ易い。帰省時になるとこの店のお菓子を求めていつも長蛇の列。この店のオレンジピールのショコラ掛けを食べるとき、私にも「ペシェミニヨン」の意味が分かってくる。
盆地にあり冬はパリより10度も低くなるこの町で私の冬の楽しみはChocolat chaud、ショコラ・ショつまりホットチョコレート。くどいようですが私は辛党、だから板チョコを食べません。でもチョコレート風味のお菓子やドリンクは大好き。わがままな辛党です。駅のロータリー傍にあるブラッスリー、オウ・ビューロー(会社にて)という冗談めいた店名の店で飲むショコラ・ショは私の冬の拠り所。もちろん年間を通して飲めますが、ショコラファンには薦めたい。ショコラは疲労回復にもなるし、ストレスを緩和します。旅の途中ディジョンで一息つくのなら、ジロットのショコラを食べながらオウ・ビューローのショコラ・ショなんて元気が沸くのでは?
チョコレートのお店: http://www.chocolat-gillotte.com
Au Bureau:22 Ave. Foch 03.80.43.58.33
夢路とみこ