昔、船で仕事をしていたころ、私たちの船は毎週木曜日がガラディナーでした。ガラディナーというのは晩餐会で、6泊7日の船旅の最後を華やかに飾るための特別なメニューを用意するものでした。そのため、どの船のシェフも決まってフォアグラを用意するのですが、このフォアグラ、調理の仕方がいくつもあって一番私たちが知っているのはテリーヌ。
この教室を開催しているのはフォアグラ農家出身のマダム・マルティーヌ。さすが南西出身というだけあってちょっとスペインの明るさが入っている。ご両親がォアグラ農家だったという事でフォアグラの歴史からその調理まで料理教室の時間内で教えてくれます。教室は平日はマダムの自宅で定員8名までのこじんまりとした雰囲気の中でやるようですが、私が見学した日曜日の教室はレストランを借り切ってでの講座。作る場所はキッチンではなくダイニングルーム。定員は14名までで、テーブルの上にまな板やその他の道具を用いてやります。
午前10時半にチェックイン、そこから11時ごろまで参加者の皆さんと自己紹介を交えてのコーヒータイム。みんなが揃ったら各自生フォアグラをもらい自分のお席へ。まずは血管の処理から、これが大変なんですよね。ぺティナイフを上手に使わないとうまく取れないのですよ。フォアグラの味付けにはアルコールを使うのですが、それはやはり南西の特産品であるコニャックやアルマニャック。これらを使うときは香りもアルコールも強いので少量ですが、ソーテルヌを使うときはアルコールがこれらよりも弱いので少々多めに入れてもよいとのこと。私はコニャックのような強いアルコールは苦手なので、ソーテルヌかな、それにソーテルヌならアイスピックを作ってフォアグラの隣に飾り付けできるから更に便利のような気がします。
調理が終わるのはだいたい1時ごろでしょうか。スパイスで味付けしたフォアグラをビンに詰めてそれを裏のキッチンへ持って行き湯煎にかけるのですが、このキッチン、レストランのキッチンとは思えないくらいの狭さ。まるでどこかの職人の工房のようです。作ったフォアグラ、そのまま冷蔵庫保存で3ヶ月の保存可だそうです。パリで作ったフォアグラを日本でホームパーティでみんなに振舞う、良いですね。
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夢路とみこ
[313]リヨンでの食事処
いろいろある店の中でも特にこの店、Escriteau 好んで行く理由はひとつ。地元民ならず市場のお店の人までこの店で食べてるから、それだけカジュアルで庶民の味なんでしょう。
リヨンで食べるならソーヌ川の川魚で作られた「クネル・ド・ブロシェット」Quenelle de Brochet ピスタシオが入った「ソシース・リヨネーズ」Saucisse Lyonnaiseが私たち日本人には食べやすいかと思います。リヨンは臓物がお得意の地方なのですが本格的な臓物はブルゴーニュのジビエ同様にすごい香りと味がするので、フランス人でも食べ切れない人が多いようですから、無理はしないように。
リヨンの食事に合わせるワインは、コート・デュ・ローヌを初めとしてローヌ川沿いにおいしくそして希少価値の高いワインがたくさんありますが、でもあえて私が勧めたいのは、日本ではあまり飲む機会のない、ボージョレ・ブラン、白ワインかコトー・ド・リヨネの赤かしら。両方ともあまりにも庶民的なワインすぎてほとんど地元で消費されるのでしょうか、パリでもそんなに見かけません。ものすごくおいしいとか希少価値があるというわけではなく、「ものすごくジモティ」であるということが取り柄じゃないでしょうか。
このボージョレブランという白ワインは、南ブルゴーニュのサンヴェランというワインの事のようです。サンヴェランはAOCなので、それだけ商品価値があるからこれまでこの名前で打っていたようですが、最近では名前を本来のものに戻し、サンヴェランの枠の中からはずして独立した形で売る事で、レアものみたいなイメージ戦略のようですが。でも、ワインそのものはシャルドネ種でしっかりとした中にもボージョレの名前を取るにふさわしいフルーティさも感じられます。だから、クネルの甲殻類ソース、ちょっと甘みのあるソースにはこのワインが合うと私は思っています。
そしてピスタシオ入りのソーセージにリヨン名産のチーズ、サンマルセランで作ったチーズソースをたっぷりかけてオーブンで焼いた料理には、何といってもコトー・ド・リヨネがいいでしょう。ボージョレのような軽さではないけど、ローヌの他のワインのようながっしりさもなく、チーズソースのこの料理にはぴったりのワインでしょう
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http://blogs.yahoo.co.jp/beaucaillou7/51302901.html
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