先日、パリ市内の観光アテンドの仕事をしていてふと気付いた事。そういえばどこのガイド本にもあまりトイレについて触れてないなぁ。ホテルの予約の入れ方とか食事のオーダーの仕方とかは頻繁に紹介されているけれど、トイレについてはそれ程多くないなぁと。でもこれについては私自身もついこの前まではお客様にレストランでトイレはどこと聞かれ「あぁそこを曲がって階段を下りるとすぐですよ」などと安易に応えていたことを反省させる出来事が。
先日アテンドしたお客様は女性ばかりの小グループ。最初のカフェでお茶の際にトイレに行ったはずのお客様2名がなかなか戻ってこない、どうしたんだろうと他の方も心配して様子を見に行ったらドアの前でお客様が困惑した顔で待っているではないか。「どうされました?」と聞いたら、どうやらどちらが女性用なのか分からず他の利用客もいないからどうすれば良いのか分からずずっと立ち止まっていたとか。
トイレのドアはご婦人用かどうか「女の子の絵」で明確な表示もあれば、文字だけDame ご婦人とか Demoiselle 淑女としか書いてないものもある。すぐ隣のドアにMonsieur 紳士と書いてあっても中を見たら女性用と同じ様式であればどちらがどちらなのか分からないのは当然。そっかトイレの場所を案内するときは表示がどうなっているかも教えないとフランス語が読めない人にはかなり辛い。
しばらくしたら、またトイレから戻れない事情が発生。今度はどうしたものだと様子を見に行くと「手を洗いたいんだけど、お水が出ないのよ。故障かしらね」と不可思議にしていた。このトリックも簡単。蛇口にお湯や水のコックがないときは足元を見ると良い。下にボタンみたいなものがあり、これを踏むと水が出る仕組みになっている洗面台は多い。それもない時は蛇口のネックのところを見る。そこにセンサーがあり、手をかざすことで水が出るという洗面台もあるのです。
そしてトイレは大抵のカフェならお客様には無料で貸してくれますが、事故や事件を防ぐためにそれの利用にはトークン(コインのようなものでお店の人に貰う)が必要なところ、とある有名カフェはトイレのおばちゃんがいて、使用料として50セントあげるところ、これまた最近映画の影響で有名になったカフェは昔ながらのトルコ式。つまり穴しか空いてない奇抜な格好をしないと用が済ませないトイレもある。
夢路とみこ
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CDHとホテルの相違点についての説明後に予約を受ける際、よく出る質問。「ここではチップの基準は?」
はい、お答えします。皆様が遠くの親戚のお宅にお邪魔して連泊するときはどうされますか?お部屋や朝食を出してくれてお世話してくれることに対してチップ置かれますか?地元の銘菓や名産物をお土産にお持ちになりませんか。それと同じ事で良いと思います。
これもホテルとCDHの違いの一つ。ホテルはお部屋係がいて賃金を貰って掃除をします。この手の仕事は賃金が最低額であるということも災いして手抜き掃除、たまにはお客様の持ち物に手を出すけしからん人もいます。でも、そうでない人が大半なので、またそれは慣習なので枕銭じゃないけれどチップは置くべきですよね。これも一つの重要な収入源です。
レストランでよく聞くのはチップが悪い団体旅行が増えたからサービスが低下したと。でも、それは仕方がない。心情からすると分かる気がする。「もてなしの心」が慣習である日本と「もてなし」は「対価」を払って受けることが慣習であるこちらとは違うから。
CDHの場合、ホテルではなく、むしろホームステイだからこの変の勘違いはまずいかも。でもホテル並、或いはそれ以上に細かいところまで見ず知らずの宿泊客にお世話してくれるのだからやはりここは何らかの返礼があるべきだと思います。
でも、枕銭に2ユーロコインを置くよりも、100円ショップで売っている民芸品や日本の便利グッズなんかをあげる方が数段喜ばれます。特にターブル・ドットと呼ばれる夕食をだしてくれるようなCDHでは料理好きなオーナーだから日本から「大根おろし」なんかのお土産は感動すら呼びます。フランスのは日本のそれほど極めが細かくないからニンニクなんて上手くおろせません。
「ゴマ擦り」なんか挙げてゴマをすってサラダに入れると香りも良いし健康にも良いですよ、との説明に早速スーパーでゴマを買ったとの連絡が。2ユーロの枕銭よりも100円の便利グッズが齎す効果は大きい。これこそ日仏友好関係!
私はCDHの代行予約で日本から振り込まれた申込金を振り替えで払うときにいつも日本の絵葉書を使います。オーナーは私以外に他の外国のエージェントとの取引も多いから、予約金入金の小切手に日本の葉書を添えて送ると目立つ。それはどのオーナーにも「日本からのお客様」である事を意識させる。チップとは違う感謝の気持ちの表し方です。
夢路とみこ
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