旅行好きであちらこちら行く、特に田舎などへも行く私だから人は私を自動車免許保持者と思っているようで。でも未だに無免許、どころかハンドルさえ握った経験はたったの1回。10メートル走って死ぬほど怖い思いをしてから、もう二度と触らないと決めた。自慢じゃないけど、テキサスにいた頃なんてキャンパスから一番近い一般食品を扱うスーパーまでは10マイル(16キロ)、デイリークィーンのアイスクリームパーラーの兄ちゃんに惚れた時期は、ほぼ毎日この10キロを彼見たさに10段変速のチャリで往復したものです。ディジョンにいた頃は葡萄畑の中やワイナリーに行くのにチャリで通いました。それだけチャリファンで慣れています。
フランス人の運転の粗さは有名。ニュースで自動車事故現場を見るとそれはまるでブルトーザーで踏み潰したかの如くの破損。フランス人はもしかして皆さん無免許?と思いたくなる。でも、それを上回る運転マナーの悪さはパリがトップクラスなのかもしれない。パリの人は交通標識が読めるのだろうかと道を歩いていて思う。だからパリではもうチャリに乗れない、寂しい、チャリ好きだし、私にとってはBMWであり、ベンツであるのに。
そんな私の不平不満はサイクリングツアーで解消。私が知っている限りパリには2種類のサイクリングツアーがある。英語とフランス語のガイド。私はいつも英語版に参加する。英語のツアー、ファットタイヤバイクツアーはアメリカ人ガイドが引率で一グループ15人程度。午前と夜と2回あり、それぞれコースが違うから両方参加しても十分に楽しい。夜のコースはサイクリングにバトームーシュでのセーヌ川クルーズがあり、船内でワインの飲み会もある。参加者は自由におつまみを持参しても構わない。
このツアーに参加していつも思うこと。アメリカ人はパーティアニマルで楽しい空間を創造する天才である。彼らの無邪気なアホさと止まらないジョークが大好きで面白い。コンコルド広場を集団横断する時、私達は大声で吠えながら走る、最高!観光名所に差し掛かるときそのガイドは、教科書を棒読みするような内容でなくいつもウィットに飛んでいる。ツアーは毎日催行され、予約不要、エッフェル塔南口に午前11時、午後7時に集合するのみ。
このツアーはパリのみならず、ベルリン、バルセロナでもやっているらしい。
http://www.fattirebiketours.com/
夢路とみこ
[222]パリでアールヌーボー
パリでアールヌーボーと言えば、まず浮かぶのが16区パッシーの散策かな。さすが高級住宅地だけあって、玄関から、その外壁までとにかく目を見張る美しさ。ただ歩くだけでも気分はかなりリッチに満たされるはず。でも、最近の猛暑でこうも暑いとせっかくの散策も汗だくでやりたくもない。でもパリだもん、アールヌーボー芸術に浸りたい。。。。という方、8区はコンコルド広場の側にピエール・カルダンの店、「マキシム」の2階がアールヌーボーのミニ美術館であることをご存知かしら?
そこは、私だけのアールヌーボーの世界と言わんばかしの小規模ながら充実している美術館。時間のない観光客にはぴったし、というだけでなく、建築だけじゃないアールヌーボーの世界を見たい人には絶対にお薦めしたい所。
マキシムと言えば「星のない名店」と呼ばれるくらいに有名なレストランですが、はやりこの美術館の入り口からその洗練は始まります。厚みのあるじゅうたん、格式を感じさせる内装、ベルエポックを感じさせます。これがブルジョワの世界なんだろうな、とモロ庶民の私はここの美術館へ観光客を案内するときに思います。ほんの15ユーロで自分が今まで見たことのないようなものを見れる、たぶんこの先もあまりご縁のない世界にほんの数時間だけでも浸れるこの贅沢が好き。
でもいつもこの美術館に入って感心するのは、良くこれだけ個人で集めた事とアールヌーボーというのは芸術面だけでなく機能的に出来ているということ。そしてそう分かるようにガイドが熱意を持って説明してくれること。アールヌーボの芸術作品はナンシーにも16区にもあるけれど、でも、それが機能的であるかなんて誰も説明してくれない、そういう風には見せてくれない。それを既に知っている人だけが味わって鑑賞できるだけ。それに気づいたらやはりこの15ユーロの入館料を高いと言えるかな。月に1回だけらしいけど、館長さん自らが案内してくれる日があり、私は幸いなことにそれに当たった事がある。彼のこの美術館に対する愛情と熱意は私の船に対する感情に通ずるものがあった。
開館日は水曜日から日曜日の午後
午後2時からは英語ツアー、午後3時15分と4時30分は仏語ツアー
料金15ユーロ
毎週金曜日は予約要ですが110ユーロでマキシムのランチと美術館ツアーが楽しめる。
http://www.maximums-musee-artnouveau.com
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