日曜日の朝、朝市に出かけた。パリは月曜日を除いてほぼ毎日、朝、夕とマルシェ(市場)が立つ。これがまた面白い。何が面白いかというとカルチエ(地区)ごとに特色があり、扱っているものもさまざまなので毎日違うマルシェを除いても飽きが来ないところ。マルシェ巡りはきちんとした観光ツアーのプログラムになりえるものと確信してる。
例えば13区ベルヴィルの朝市。エディット・ピアフが生まれた地区として知られる他、パリにおける中華街としても人気が高い。私も和食の食材を買い集めるときはこの界隈に買い物に来る。毎週火曜日に立つこのマルシェはBellevilleの駅からその先3駅までとにかく長い露天街となる。中華街とアラブ街が近いせいか置いてある果物や乾物にその特色が現れて、行ったことないけど気分だけはもうモロッコのカスバか香港のチムチャーツイ。首を360度回転させてもまだ見足りないくらいに見所たくさん。アリババの洞窟!
もちろんこんな場所だから気をつけなければならないのはスリ。それは肝に命じてた。でも、命じてなかったのが、マルシェの緊張感を駅で崩しちゃいけないってこと。この日出かけたのはBellevilleと同じくらいに距離のあるConvisartコンヴィサールのマルシェ。こちらは一般的な食材が中心だけど最近の私の興味はチーズ。面白いチーズ屋を探してマルシェを歩いています。このマルシェは幾つもチーズ屋があり品揃えが立派。見学中は貴重品に気を使いながら写真を撮っていたけど終わって駅についたときは緊張がほぐれすぎてホームの椅子にハンドバッグを置き忘れたことも忘れてメトロに乗車。駅の改札に来て始めてバッグの無いことに気づく。駅員さんに連絡しても盗難じゃないなら警察に行けとだけ。駅から最寄りの警察まで徒歩30分、日本だったら交番とかあるじゃん、とぶつぶつ。
警察に着いた。おまわりさんに事情を説明する。その時はバッグをホームの椅子に置き忘れたのか、擦られたのか、落としたのか、頭の中が真っ白で興奮していて思い出せない。擦られたなら、擦った人の人相があるはずだ、落としたならどの辺か検討かつくはずだ、とおまわりさんに諭されるものどうしても思い出せない。でも、紛失届だけは出さないと。
この日は天気も良く、気分も爽快だったのですが、脳天気なものですからとんでもハップンの一日になってしまいました。この続きは次号にて。
夢路とみこ
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パリのロワシー空港を出ておよそ22時間後、やっとバルセロナ行きの飛行機に搭乗できた。外はにわか吹雪、豪雪は続く。でももう乗っちゃったんだもーん、行くもーんと頭の中は寒いスイスから温暖なスペインが過ぎる。うとうとと眠りこけていたらキャプテンのアナウンスが、時計を見ると出発時間からすでに45分が経っている。いやーな予感。
予感は的中。機体に雪がこびりついているのと、それが原因で荷物をカーゴに詰めないからまだ飛べないという。窓からスプレー付きクレーン車のようなものが見える。スプレーがまるで砂埃を払うかのように雪を溶かす。始めは面白がってみてたけど、1時間半以上経ったら飽きて「まだぁ?」と怒りも湧いてきた。2時間後やっと飛行機が離陸体制に入る、チューリッヒに着いて約24時間、やっと出れる。
機内では、すばらしく美味しいブルーベリーマフィンの朝食に気分はご機嫌になる。空港では価格設定が高く設定されているけど、サンドイッチとこぶ茶(どうやらこちらでは現在それがお洒落なドリンクらしい)で14フラン(20ユーロ近く)にたまげたぁ。ちょっと高級感のあるパリのポールのパン屋のランチセットだって9ユーロも出せばデザートも付けてくれるよ。バーガーキングのセットメニューは昔も今もやはりスイスが一番高い?フランスの安月給で生活する私にとって学生時代と社会人の思い出詰まるスイスがまたまた遠くなる。
ブーブー文句を言いながらも無事にバルセロナに到着。やっとホテルで安眠出来ると思っていたら。。。。預けてたスーツケースが降りてこない。運良く自分の荷物を手に出来たのはほんの数名。えー、出る前に荷物の詰め込みに待たされたのにあれは一体なんだったのか。荷物がチューリッヒを出てないのを知ったのは到着してから1時間後、すぐさま皆で荷物紛失手続きのカウンターへ押し寄せる。前夜の人の嵐のミニ版がここに再現。
このカウンターで待つこと1時間、それも立ったまんま。手続きを終え憔悴しきった体を押し込むようにタクシーに乗りホテルの地図を渡す。「ドライバーさん、たのむよぉー」と涙声になったのは地図を渡しているにも関わらず他のホテルに到着したとき。彼は英語も仏語も分からない、私は西語が分からない、意味不明の会話が数分続き、やっとホテルに到着。
教訓:飛行機に乗るときは、1泊分の準備を機内持込の荷物に、現地でテレカを買える小銭を用意する。
夢路とみこ
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