北ブルゴーニュは、葡萄畑一面のコート・ドールや南ブルゴーニュとは違った景観を持つ、この地を更に惚れ直し、益々好きになる。フランス各地を旅したけれど、一つの地方でこれほどにも様々な景観と自然の豊かさに恵まれる地方はそうそうあるのだろうかと何度も心の中で呟く。それ程までにこのブルゴーニュは訪れる人の心を鷲づかみにする。
北ブルゴーニュを代表する都市オーセールは、町の中央に聳えるサンテティエンヌ大聖堂を見上げるように広がる美しい港が広がります。近くには銘醸街道のスタート地点、ブルゴーニュ白ワインの代表格のひとつ、シャブリ村があり、これはこの地方を代表する白ワインのひとつだからオーセールの位置が分からなくてもこの村で想像がつくかもしれませんね。
私も最近まで全く知らなかったのですが、このオーセールで何と「トリュフ狩り」が出来るんです。トリュフと言えば「ペリゴール」「プロヴァンス」とばかり思っていたので、ブルゴーニュトリュフの事はちらりと聞いていたけれど、その違いすら全く知りませんでした。でも、黒いダイヤは存在した!
[193]おやじカフェ万歳!(3)
おやじカフェに屯(たむろ)する「おやじ」はカフェに行く事を日課にしているだけでなく勤務でもあるようです。その所為か、ヴァカンスシーズンになるとカフェはやっていても肝心な「おやじ」が不在。おやじ業にも休暇があるのか、家族に引っ張られて行ったヴァカンス先のカフェにご出勤するからだとか。「おやじ」のいない「おやじカフェ」、それはまるで「焼き鳥」を切らした赤ちょうちんの様なもの。味気がない。それだけこの国の大衆文化であり庶民の生活に根付いているから、「おやじカフェ巡り」も一つの観光テーマになりえる。
テレビドラマで19区が舞台になったものを観た。時代背景は戦時中のものだけど現場がその時代のままらしくセット無しの撮影だったよう。ドラマはまるで向田邦子の「時間ですよ」を思わせるホームドラマだった。あんまり素敵だったから19区だけを頼りに地図帳を持ってパリへ行く。肝心な40年代を思わせる街角は見つけきれなかったけどプチブルジョワの住宅街を発見。パリにこんな素敵な1軒屋界隈があるんだと感心。そこはプチ田園調布で、プチ芦屋。細い路地を挟んでそれぞれが思い思いに家を遊び、ミニ玄関を飾り立てる。その後ろに高層住宅、それもマンションというよりも公団みたいなのがミスマッチで大都会パリを感じた。
偶然の副産物に感動しながらたっぷりとプチ邸宅ウォッチグを楽しんだ後は、お腹が「時間ですよ」というので近くにあったおやじカフェに入る。フランス各地でおやじカフェ体験しているけど、パリ19区のこれは私の中でも「当たり」だった。まずおやじの服装がハイセンス。カウンターの中に立つお店側のおやじはお洒落な「かつてのギャルソン風」、ちらりと見えたキッチンからは料理上手そうな「おっかさん」がいた。極めつけはオーナーのムッシュ。週に2時間日本語を勉強しているとかで「本日の定食はお肉です」と日本語で教えてくれる。どうやらワイン好きのお店らしく、店内はワイングッズ装飾がお洒落。おやじカフェなのにワインリストもOK!私の感激の頂点を突いたのは前菜に食べた「ポワロー葱のヴィネグレット」ホワイトアスパラのように甘くとろりと口の中に滑り込むような味、船のシェフに泣き付いて作ってもらっていた昔を思い出す。
BISTROT SAINT-GERVAIS
67 rue de Mouzaia 75019 Paris
tel 01.42.00.44.12
夢路とみこ