私は運河クルーズが大好き。運河は潮流がないので船に乗っても静かに漂うように進むから。座っているだけで景色が動いてくれるから。ワイングラスを片手に観光が出来るから。運河は幅が狭いので横を別の船が通っても殆ど揺れないから。沈没しそうになったらデッキからすぐに陸上に飛び乗れるから。運河沿いにはサイクリングロードがあって自転車でも徒歩でも船に並んで進めるから、と運河クルーズの魅力を語りだしたらワインについて語るのと同じで話が尽きません。
パリはどんな風に観光手段を選んでも楽しい。オープンエアの2階建てバスも良い。市内循環バスも捨てたもんじゃない。狭いモンマルトルの路地を「そこどけ、そこどけ」というように疾走するプチトランだって気に入っている。セーヌ川にまるで東名高速道路のような渋滞を招いているバトームーシュやバトータクシーだってパリをあらゆる角度から見せてくれる。でも、そんな中でもやっぱり私のお気に入り観光手段はサン・マルタン運河のクルーズ。
[133]バッハからバッカスまで
ジュヴレイ・シャンベルタンで開催されるこの音楽祭「バッハからバッカスまで」は今年で19回目、毎年9月の初旬に行われます。これはジュヴレイ・シャンベルタンを中心に付近のワイナリー村郡、ブロション、クーシェー、シャンボール・ミュジニーなどで一斉にワインの試飲会や音楽祭をします。タイトルにバッハがあるからクラシックのみかと思うと、いやいや、私が行ったのはジャズでした。場所はカーブだから音響効果抜群。アコーディオンでジャズを演奏するなんて何てフレンチなんだと思いきや、いやいやこれが聞かせる。
この音楽祭のプログラムは多様。クラッシックはもちろんのこと、ジャズあり、モンマルトルの酒場シャンソンありと興味はつきません。私のジャズコンサートは残念ながらワインが出ませんでした。シャブリ村から来た演奏者のジャズマン達は「ここでワインを出すとそっちに気が取られて私達の音楽聞いてくれないから出さない」なんてジョークを飛ばしてたけれど、私はジュヴレイ・シャンベルタンを片手に聞きたかった。もちろんワインを飲みながら聞くコンサートもあるし、コンサートの後にワイン専門家による試飲会やワイナリー見学付きもある。だから値段も10ユーロから40ユーロまでと様々。