[238]日本の美を味覚と聴覚で

パリのRue Sainte Anne サンタンヌ通りは和食は当然ながら、アジア料理の激戦地。最近はお寿司も中国人経営の店が増えてきたから、ちょっと間違えると付け合せのお味噌汁にマッシュルームが浮かぶ店で食事をすることになりえない。表に掲示される料金表で日本人経営か外国人経営かを判断して入るようにしています。
ジャーナリストの友人の取材のお供でとある店に食事に出かけた。というよりもご招待に預かった。オーナーはまさか私のような大食漢で大酒飲みが来るとは想像もしなかったことでしょう。計算外の人物だったはず。この店はパリで一番古い、歴史のある店らしい。去年からオーナーチェンジがあって、現在のオーナーがドイツでの経験を頼りに激戦地パリに乗り込んできたらしい。
私が行った日は土曜日。だからお店はほぼ満席。日本人よりもフランス人や外国人で埋まる。もちろん和食がこの国で定着しているのもそうだけど、メニューにバラエティがあるのと、斬新なものがあるのが惹きつけるのだろうか。バラエティーを言うと、新橋の居酒屋メニューから人形町の料亭鍋物までと幅がある。一軒でサラリーマンから政治家まで味の体験が出きるのがおもしろい。そんな店、この界隈で他にあったかな?
斬新さについて言うならば、食べなかったけど「フォアグラ寿司」どんなのだろう。虜になったのは、あの味を思い出すだけでもよだれが止まらないのが「まぐろかつ」。フランス人がマグロを調理するといつもステーキで火が通り過ぎ、フランス料理お約束のソースで食べるからかなりどってりとしたマグロ料理が一般的。でも、ここではとんかつと並んでまぐろかつがある。これはイケル。程よく火が通ったホクホクのマグロを包むのは、サクサクとした衣。フランスの一般家庭は電気コンロだからここまでサクサクは出来ない。それをマスタードとトンカツソースで食べる。もう書いているだけでお腹がグー。
でも、お料理の美味しさを深めるのは、従業員の方々の美しい日本語。まるで料亭で食事しているみたい。美しい言葉が美味しい料理を彩る。日本語を学ぶ外国人には、このような店の食事で日本語の美しさに触れてもらいたい。そして、また私たちのような海外在住者はこのような場所で自分の言葉の乱れを反省しなければ。
日本料理 たから
14 rue Moliere 75001
01 42 96 08 38
定休日 月曜日と日曜日の昼
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[237]継続は力なり(6)

最近すごいフランス人に出会った。その人、フレッドは英語の先生。個人教授を中心にやっている。彼が主催する「イングリッシュ・ブレックファースト・クラブ」に私は参加している。
「イングリッシュ・ブレックファースト」と言っても別にエッグマフィンが出たり、ロイヤルミルクティーを楽しむ会ではありません。午前8時30分からコンコルド広場のサロンかカフェでお茶しながら「英会話」をするというクラブ。
「朝食」の部分はサロンで開催するときはクロワッサンとかパン・オウ・ショコラとか、オレンジジュースまで出る。「イングリッシュ・ブレックファースト」ならず、どっぷり「プティ・デジュネ・ア・ラ・フランセーズ」紛らわしい!!
カフェの時は自分で注文する訳ですが、店にはクロワッサンぐらいかしら。じゃあタイトルを「ブレックファースト・イン・イングリッシュ」にしてよ!と思っているのは私だけではないはず。
話はフレッドに戻り、彼は2年程度しかイギリスに留学経験がないのに英語がかなり綺麗。それは発音もそうですが、単語の選び方、文脈の作り方、やっぱり英語の先生だからか。私はテキサスの4年を含めばアメリカにいたのはトータル5年くらいになるけれど、彼のレベルには及ばない。特にこの時間にテーマに沿って会話をするとなると、老体に鞭打つくらいに厳しいものがある。
この会の面白いところは、英語学習に真剣に取り組むフランス人のみならず、ネイティブのアメリカ人やイギリス人も来ること、そして時々フレッドに文法とか直されてるところ。
このネイティブ達は別に英語の練習ではなく、ただ皆とワイワイしたいらしい。特にパリに着たばかりの英語圏の人たちは、こちらの生活に慣れるまでは英語でやり取りしてくれるフランス人の友人を早く見つけたいのが本音らしい。
面白いことに、パリにちょっと寄っただけの観光客も来たりする。ほんの僅かな時間でもローカルな人に会うのを楽しみにしている。
そんな旅行者の彼らに聞いてみたら、パリ旅行を決めたときにこのクラブの日程表を見て、都合が良かったから参加することにした、どっちみち時差ボケで早朝から起きているから大丈夫とも。面白い!ではそのうち日本からの旅行者もふらりと立ち寄って私と一緒に朝から英語でヒーヒー言うのもありかもしれないわね。
イングリッシュ・ブレックファースト・クラブ
http://esl.meetup.com/335/
夢路とみこ
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