パリは花の都、光の都、芸術の都と「都並べ」をしたら尽きないぐらいに多様にある。仕事でフランス各地を訪れる機会のある私はいつも、フランスってでっかいな、地方ごとにこれだけ違う、まるで異国の国を旅行しているみたいと思う。しかし、パリについて言うならば異国とまでは言わずともそれぞれのカルティエ(地区)が独特の持ち味があり、パリに20の地方が集結したようにも感じている。パリにいるだけで飽きが来ない、だからパリに魅了される人、症候群になるまでとりつかれる人が出るのも頷ける気がします。
パリでは月曜日を除いて毎日どこかのカルチエでマルシェ(朝市)がたちます。規模は近所の商店街がちょっと大きくなったものから、巨大な青空市場まで。中には映画で見るような北アフリカのカスバやバザールを思わせるようなものもあり。どれ一つとってもすごい、の一言のみ。
最近の私の仕事柄、ほぼ毎朝朝市見学に出かけます。私が知っているだけでも100件以上はあります。パリの現地オプショナルツアーの会社では朝市を観光ツアーに入れたウォーキングツアーもあるくらい。それだけ朝市は絵になる、人を惹きつける魅力に溢れてる。人がわんさか、観光客もわんさか集まるところ、お約束の登場人物はスリ。駅じゃないから市場で「お買い物客の皆様、スリが多発しております。お財布のご確認をお忘れなく」なんて親切な放送は多国語放送どころかフランス語でさえもないから、余計に自覚が必要。
日本は能登半島は輪島の朝市が有名で私も行ったことがあるけれど、あんなものがこのパリでは毎日どこかで開かれているということ。観光客じゃなくたって面白くってついつい写真に収めたくなるのが日本人の心情?
でもこれがちょっとしたマナー違反になっていることに気づいたのはごく最近。マルシェと言えども彼らは場所代を払って営業しているのだから店舗と同じこと。つまり、客でもない人に勝手に店内の写真を撮られるのは営業妨害みたいに思われてることかもしれない。特に私たち観光客は断りもなしにバシバシ撮るから。断ってもやはり客で無い限り嫌がる店もある。
店が嫌がるのは十分に分かるが、買い物客の中にももろに嫌悪感を出す人もいるから辛い。ファインダーの前に立ちはだかる人、撮った瞬間に声を荒げる人とさまざま。やはりマナーとして一言断りを入れ、そこで何か買ってその時にお願いするというのが無難のようです。
夢路とみこ
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警察では紛失だとしてもパスポートのような公的書類で無い限り紛失届は出さないといわれびっくり。でも、クレジットカードもあるんですけど、と言っても回答は同じ。その上カード紛失届の番号は教えてくれてもフリーダイヤルだから警察の電話では掛からないから外で掛けてと言われた。幸いなことに携帯は持ってたので自分で掛けたけど、もし私が仏語も英語も分からない、携帯も持ってない観光客だったら同じような扱いをするのかな。
この日は同居人が国外出張で明日まで帰ってこない、家の鍵もバッグの中。今夜は野宿?地下鉄軟禁の際にお世話になった彼女にまたまた助けを求める。警察署は14区、彼女の家は11区、小銭も何もないからそこまで歩いて行くしかない。ブルゴーニュの葡萄畑ハイキングをディジョン滞在中の5年半のうちに楽しんだから歩くのは苦にならないけど。でも葡萄畑を4時間歩くのと、パリの排気ガスだらけの道路脇を歩くのは違う。せめてセーヌ川沿いを4時間歩く方がずっとずっと楽しいのに、と再びぶつぶつ言いながら歩く。
モンパルナスタワーを見たり、リュクセンブール公園を通り抜けて、サンミッシェル教会やソルボンヌの前をぶらぶらしてやっと到着。私の到着があまりにも遅いので心配した友人は興奮した様子で私を迎えてくれた。でも、当の私は天気も良かったし、マルシェで買ったバナナとグレープフルーツがすごく美味しかったので、事故に遭ったことも14区から11区までの距離もほぼ忘れかけてた。
避難していた友人宅でのんびりとお茶をすすりながら雑誌を眺めていたら、携帯に電話が。掛けてきたのはマルシェ見学の後に電車に乗ったメトロ駅の駅員さん。私のバッグがあると。実は駅ホームの椅子に置き忘れたことをこのとき初めて知った。私の名刺を見て電話を掛けて来たらしい。連絡を受けてすぐに駅まで取りに行き、その夜は無事に我が家で安眠。
フランスに来てほぼ6年。一見しっかりしてそうで、時々ボケる私はこのような事がすでにディジョンで1回あった。その時はパスポートも一緒に紛失。全ての再発行の手続きが終わった頃にバッグが無事に戻ってきた。カードも悪用されることなく。そして今回も。この2回、私のバッグには聖クリストファーのコインが。欧米では聖クリストファーというと「旅行者の守護神」として人気がある。仕事柄、旅行が多い私はペンダントにも、キーホルダーにもこれを持っています。
夢路とみこ
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