米国での大学を卒業して最初の就職先がスイスのローザンヌだった。私は当時23歳、JJ(Jeune et Jolie 若くて可愛い)で夢と希望に満ち溢れていた。赴任期間は約2年ほど。短期間だったけど厳しい上司に鍛えられて仕事でもプライベートでも男並になって帰国。あれから17年。その間に何度かスイスには観光には訪れたけど、そんなに長くはいない。ローザンヌに住んでいた頃は、フェリーに乗ってレマン湖を40分程度渡るとミネラル・ウォーターのエヴィアンがあり、高級保養地のその町のカジノへは同僚に連れられて何度か行ったし、それ以外ではワインや食料を買いにレマン湖を週末良く渡ったのですが。
バルセロナへの出張が入り、格安チケットを購入したら西へ行くのに東経由となった。空港での暇つぶしにまずはウィンドーショッピング。空港でのショッピングの楽しみはやっぱりワイン。その国がワイン生産国ならなお更楽しみ。どんな品種でワインを造るのか、それを飲ませてくれるバーは空港内にあるのか、などなど。スイスがワイン生産国であることはあまり知られてない。生産量は少ないし、品種もそんなに多くないし、まして自国民は隣のフランスやイタリアのワインばっかり飲んでるから、余計に陽の目がない?
私の社会人生活最初の上司は金融の仕事以外にワイナリーを経営し、スコットランドに城を持つ元貴族の出の人でした。その上司、今では金融もワイナリーも辞め、城も売り飛ばし貿易会社を経営しながら市長も兼業している。今でも交流?腐れ縁?があり電話をしてくるとき私を「スケベババア」と下品極まりない。もしかして元貴族も辞めたのかな?でも、彼が私にワインの魅力を教え虜にした。私の酒豪は自分の責任ではないと逃げながらも。
私の好きなスイスのワインは2種。レマン湖周辺の傾斜、それもローザンヌ近郊のサン・サフォラン村 St. Saphorin で作る白。シャスラ種 Chasslatの葡萄で作る微発泡性なのがフランスのアルプスの白ワインを思わせる。そしてイタリア語圏にあたるティシノ県Ticino のメルロー種で作られる赤。メルローはボルドーでも多く使われる品種だけど、ボルドーの繊細なメルローと比べるとこちらはイタリアのワインを思わせる。いずれにせよ、スイス外で見かけるのは稀。日本ならどこかが輸入してる?
帰りもこの空港に寄るから久々にたんまり買っちゃおうっと。
夢路とみこ
[207]パリで賢く食生活(2)
私は同居人を密かに「ママ」と呼んでいる。男性はある程度年齢が行くと「オジサン化」と「オバサン化」に分かれるらしいが、我が家は結構「オバサン現象」が現れてきたようだ。最初は「親切な人」の印象が、「面倒見の良い人」へと発展し、現在では「お母さんみたい」と思うようになりました。「フランスに5年以上も住んでいるんだからそんな事分かっているよ」と言いたくなるような、とても丁寧な説明をしてくれる。それも郵便局で国内、国外郵便物の出し方、とか、分別ゴミの出し方とか。
ママは大手企業に勤務するバリバリのビジネスマンで、取引先からお土産を貰ったりもしてくる。私も40代には突入したが、一応嫁入り前の娘というせいもあってか、ママはやたらに「皺取りクリーム」を勧める。どうやら大手有名薬品会社である取引先から貰ってきたらしい。1本25ユーロもするチューブ入りのもの。たくさんあるから使えという。まだ皺がないから別に良いと断っても「ママ」だから娘の美容に口を挟む。ニキビが出来ればXXを飲め、船の事故で怪我した足だから屈めないと言えば、優秀な医者を知っているから近いうちに診察に行こう、と実の母以上にうるさいやら、有難いやら。母のいない私には持って来いのママ。
モンパルナス駅付近にあるINNOはママご用達のお店。高級食材という訳ではないけれど、米国スーパーのような品揃えと見栄えの良い商品がお手頃価格で買えるのが魅力。特にそれは地下の食品売り場にあり。日本でも知られているブランドの紅茶やお菓子は、7区のデパートやブティークがある。でも、もっと日常的なメーカー品のものを買って「普段着のフランス人の食卓」を日本へ持って帰るのなら、ここかな。高級取りのママと違い、厳しい条件で雇用契約を結んだ私にはディジョンにいた頃のような贅沢は出来ない。それにちょっと車で買出しにというワイナリーも近くにはない。おまけにご飯が一緒の時はいつもワインを飲むから結構な出費。でも、INNOはフランス各地と世界のワイン、リキュール類があり、その価格幅も広いから安くても上質。だから、近くにワイナリーのない生活にも慣れました。この店にある、ママの故郷オーヴェルニュ地方の野草で作ったリキュールGentianeは結構イケル。
INNO
31 rue du Depart
メトロ:、、、Montparnasse Bienvenue
9時から21時30分まで
夢路とみこ
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