[131]アルザス地方の味 その2

本当か嘘かその真意は知りませんが、アルザスの有名なチーズ、Munsterマンステールはひと昔前まで、と言っても20世紀ですけど、公共の交通機関に持ち込むことが禁止されていたとか。つまりそれ程臭いと言われています。
私達日本人は漬物に慣れているから臭いと言われても欧米人が感じる程の異臭には思えないのですが。漬物大好きでスイス赴任中には日本からぬかを送って貰い「マイ漬物」でスイスの白ワインを堪能したほどに漬物好きな私はチーズは臭ければ臭いほど好き。船の狭いキッチンで一人、臭いチーズをよだれたらしながら「うめー、うめー」と日本語で絶叫するのを英国人クルーはいつも白い目で見てましたが。。。。
マンステールは修道院という名のウォッシュタイプチーズ。つまり製造行程で発酵を促す為に塩水に漬けて洗うタイプ。その昔、修道士が修道院の維持費を賄うためにこれを作り村人に売ったという、それはブルゴーニュのチーズ、シトーと同じようなもの。シトーはそれ程強い臭いはないですが。チーズは食べる最低 30分以上前に冷蔵庫から出して常温で柔らかく、ちょっととろける位がベスト。臭いチーズなんて柔らかくなるのと香りのきつさが比例。

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[130]アルザス地方の味 その1

最近再びアルザス地方に行く機会がありました。この地方はクリスマスマーケットが有名だから冬に行くところと思われがちですが、いやいや、夏だって楽しい、美味しい地方です。
夏のアルザス地方、郷土料理を楽しむのなら私はこう行く。食前酒はCremant D’Alsace(クレマン・ダルザス)これはシャンパンと同じ製法で作った発泡性ワイン、ピノ・ブラン種で出来ていてシャンパンやクレマン・ド・ブルゴーニュよりもややほのかに甘い感じがします。
発泡酒がどうも、というのなら同種の普通のワインはどうかしら。ブルゴーニュでは黒葡萄のピノ・ノワールで美味しい赤ワインですが、白葡萄のピノ・ブランのワインはアリゴテ同様に軽くちょっとワインをというのにはお誂え向きです。この地方以外ではピノ・ブランをグラスで飲める店はあまりないのでこの機会にどうぞ。
この地方の郷土料理、シュークルートやベックオフは冬の料理。食べるだけで汗だくになりそう。やっぱりここはさくっと、Coq au Riesling(コック・オウ・リースリング=雄鶏の白ワイン煮)と行きませんか。リースリングはドイツワイン品種としても有名だけど、甘口ワインの「リープフラウミルヒ=聖母の乳」や「マドンナ」で知られるけど、アルザスのリースリングは甘さ控えめのややドライ。ブルゴーニュではコック・オウ・ヴァンと言い赤ワインで煮込みますが、こちらは白ワイン。クリーミーなソースがこの地方のパンとこのうえなくマッチする。

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