素晴らしい芸術作品や珍しいものはパリよりも地方の美術館などの方が多く名作との意外な出会いを求めるなら田舎へ行けというのは本当だと思う。これはブランド品を探すのにも共通するらしい。シャンゼリゼで何時間も行列するよりも地方都市のブティークの方が在庫がたくさんあるようです。
トゥールはパリからTGVで約1時間強。ここは世界でも珍しい芸術品に出会える。わざわざ足を伸ばしてパリから一歩出たフランス芸術観光の価値は大いにあり。
その一つはMusee du Compagnonnage職人の組合博物館。TGVやコンコルド、原発を持つこの国は、ハイテク産業の先端を行く一方でミッシュラン3つ星を獲得するために何年もの修行があったり、人の生き方さえも変えてしまうような素晴らしいワインを造る樽には樽職人の腕次第とデジタルなのかアナログなのかわからない、上手くミックスした国です。それがフランス人の頑固さを作るのでしょうか。頑固とこだわりの職人芸を見るのならこの博物館へ。フランス人ってこんなに器用なんだ、彼らは何事においてもエレガンスとアートを忘れないんだと関心します。
[072]LとRの喜劇
仕事で船内コーディネーターとして乗ると添乗員さんから「とみこさんが乗船してくれると通訳してくれるから助かります。僕は仏語どころか英語すらも殆どだめなんで」と言ってもらえたりもする。海外で就職となると現地言語は当然のことながらビジネス言語の英語は必須。外国語に不慣れな人が聞くと私程度でもベラベラに聞こえるらしい。いやお客様の手前、そう装っている。しかし本当はかなり苦しい。日本人が外国語の発音で苦手とされるのが「LとR」私もその例に漏れることなく苦手。この二つの文字が入ると聞くのも喋るのも混乱。そして喜劇の主人公になることもしばしば。
週末をアルルで過ごすためエイグ・モルト下船の後にニーム乗換えで電車に乗った。車内連絡で「次はArles、アルル」と聞こえたので下車。駅を出たら世界的な観光地の割には随分と干からびている駅と思った。荷物が重くとにかくタクシー乗り場へ。「サン・トロフィーム教会傍まで」と運転手に告げると向こうは?顔。発音悪いから通じてないと思いアルルの地図を見せたら「マダム。これはアルルですよ」と言われた。アルルにいるつもりの私は「だからここに行って」とせっつく。コイツは馬鹿か?という様子で運転手は更に「ここはアレス、AlesでArlesではありません。アルルへ行きたいなら電車に乗りな」と言われ自分のミスにやっと気付いて再び電車の3時間待ち。