仏語でぺシェミニヨン(Peche Mignon)という言葉があり、意味は罪なき悪癖、つまり道楽らしい。ホームステイしていた頃、好物の柿の種をマダムと分け合って食べた。ここには塩味のお菓子がなく、あってもポテトチップスや塩ピーなどのお酒のおつまみで塩味のお茶菓子がない。そのせいか、フランス人にはよく受ける、誰にあげても喜ばれるのが柿の種。これを食べるとき嬉しさに目を細めてマダムが発した言葉がこの「ぺシェミニヨン」なるもの。でもどこが罪と繋がるのかと尋ねてみたところ、おやつは太るからあまり食べちゃいけないけど、これは美味しいから悪い(つまり悪行)と分かっていてもついつい食べちゃう事がどうやらこのぺシェミニヨンに繋がるらしい。ふむふむ、そうか、では私のぺシェミニヨン、いや大罪はワインだ。
[114]銘醸街道城巡り(2)
日曜日の朝ディジョン11時10分発郊外行きバスに乗る。銘醸街道を下りボーヌから10キロ先にあるムルソー村へと向かう。所要時間90分。バスは村の入り口、11 Novembreに停車するのでディジョンへ帰るときも同じ場所から乗車します。そこからまっすぐ下るように村の中に入ります。丁度、ランチタイムに差し掛かっての到着だから村役場の前の広場に幾つもあるレストランで昼食なんてどうでしょう。すきっ腹の試飲は悪酔いのもと。それにどのカーブもしっかりとランチタイムの休憩は取るので午後開館は大体2時過ぎです。
ブルゴーニュワインの白の代名詞はシャブリですが、高級品となるとやっぱりムルソーが勝ち。同じシャルドネ種の葡萄で作るワインなのに土壌が違うと色も風味もこんなに違うものかと関心させられる。11月に開催される「栄光の3日間」の最終日はこのムルソー村での昼食会だが、これはかなりステータスの高いイベントで業者の人でもなかなか中に入れないというタイソウなものらしい。では観光客がムルソー村のワインを楽しむにはどこへ行けばよいか。ではではシャトー・ド・ムルソーへどうぞ。
シャトー・ド・ムルソーは外観からしてもエレガントなシャトーです。15ユーロで試飲用グラスを買い館内を見学しながら試飲します。シャトー内にはベルナール・デュブッフの作品を中心に素晴らしい絵画コレクションが展覧されています。これは常設展でときどきバカラクリスタルの特別展などもあったりするのでその美術展もここを訪れる一つの楽しみの理由。絵画を眺めながら進むとビデオコーナーがあり、シャトー・ド・ムルソーと所有する畑とそのワインについての紹介ビデオが仏語版と英語版と2回に分けて10分程度の上映があります。そうこうしているうちにだいたい1時間が過ぎて、お目当てのワインを探しに地下へ進む。
地下のセラーには樽がズラリと並び樽にまで気品を感じるのは私だけ?ムルソーのワインは辛口で香りが高く高貴な感じがします。フランスにあってもお値段がやっぱり高いのでシャトー見学試飲は大酒飲みの私には願ったりかなったりのチャンス。天気の良い日はシャトー内の庭を散歩する、またはバス停までの道のりに日曜日でも見学試飲が出来るカーブがいくつかあるのでそれに寄って見るのも良し。
ディジョンに戻るバスがこの村を通過するのは午後6時過ぎ。ディジョンに着くのは7時30分頃。日曜日の観光としてはおあつらえ向きなのでは?
シャトー・ド・ムルソー
http://www.meursault.com/meursault
夢路とみこ